旅行記

帰国 日本はどんな国かしら

十一月二十五日(金) 日本に帰るのが楽しみすぎてよく眠れなかった……と思ったけど、よく考えたら昨日三時間ぐらい昼寝したし、どちらかというとそのせいだったかもしれない。まあなんでもいいや。とにかく二人揃って無事帰国できそうなことが嬉しかった。 …

クルージュナポカ りんごの標本

十一月二十二日(火) 朝、起きて十秒で夫が「ルーマニアに来てからまだ睡眠しかしてない」と言い出しておもしろかった。どう足掻いても予定をぎっしり詰め込んで動くことになるフランスの後で、出来るだけのんびり・ゆるく楽しもうという話から軟着陸したの…

リヨン 財布を空にして

十一月二十日(日) 明日の夜にはフランスを発つ。今日は丸一日使って観光を楽しめる最後の日……ということで、蚤の市へ行くことにした。パリで行こうとしたら土日しかやっておらず泣く泣く諦めることになったので、今回はそのリベンジだ。このところ予定を詰…

リヨン シュヴァルの理想宮

十一月十九日(土) 今日はシュヴァルの理想宮に行く。それは子供の頃にテレビで特集されているのを見て以来、長年憧れていた特別な場所だ。個人的にはルーヴルやヴェルサイユよりもずっと楽しみにしていた。 この理想宮はシュヴァルというひとりの郵便局夫…

リヨン とても豊かな何かの肉

十一月十八日(金) 今日でパリとはお別れ。これからフランス第二の都市・リヨンに移動する。 思えば一週間近くいたけど全然パリのことを知り尽くすことができなかった。ポンピドゥセンターをはじめとして、気になっていたけど行けなかった美術館・博物館の…

パリ ヴェルサイユ宮殿

十一月十七日(木) パリ観光最終日。今日はついに乙女の憧れ・ヴェルサイユ宮殿に行く。パリの中心地からは少し離れた場所にあり、地下鉄を乗り継いで郊外に降り立った。元は狩猟の際に使われる小さな別荘だったというヴェルサイユ宮殿の成り立ちに相応しい…

パリ オルセー美術館

十一月十六日(水) 今日はオルセー博物館に行く。この前訪れたルーヴルが古代から十九世紀中頃までの作品を中心に展示しているのに対し、オルセーはそれ以降に作られた近代の芸術作品を専門に取り扱っている。規模こそルーヴルの方が大きいものの、モネ、マ…

パリ アフリカを探せ

十一月十五日(火) 今日も引き続き市内を探索することになった。昨日一日ではカバーし切れなかったサクレクール寺院等があるモンマルト方面に向かう。 この辺はパリで最も治安が悪いと言われている十八区に位置しているが、だからこそなのか安い古着屋がけ…

パリ 市中散歩

十一月十四日(月) 昨夜はルーヴルの余韻が激しく残っていてあまりよく眠れなかった。ずっと興奮しっぱなしだとさすがにつらいので、今日は市中をのんびり散歩してまわることにする。 十時。宿から二キロ離れたところにある凱旋門を目指して歩き始めた。地…

パリ ルーヴル美術館

十一月十三日(日) 今日はルーヴル美術館に行く日。大混雑が予想されるため、開場時間の九時前には着くように宿を出た。 地下鉄を乗り継いで向かう。後になって思い返してみるとこの時がいちばんテンションが高かった。昨日は疲れていてそんなことを思う余…

サンティアゴ スペインにキスしたい

十一月十一日(金) 昨日思う存分ダラダラしたおかげで今日は目覚めがよかった。体力だけでなくやる気・気力も充分に回復している。起きてさっそく支度をするとまずは二人でバルに出かけた。明日にはサンティアゴを発ってフランスのパリへ向かうため、大好き…

サンティアゴ 巡り合わせで生きていく

十一月九日(水) 朝起きるとさすがに胸が切なかった。もう歩かなくていいんだと思うと心にぽっかり穴が空いたかのようだ。その代わりに何をしたらいいのか、以前はどんな感じで旅をしていたのか、すぐには思い出せそうにない。宿に置いてあった、不要なもの…

続・カミーノ 果てへ

十一月八日(火) 続・カミーノ巡礼五日目。いよいよ最後の日が来た。一応、明日からサンティアゴに何泊か滞在する予定ではあるが、巡礼路を歩くのは今日までだ。この町からフィステーラまで十二キロ、そこからさらに三キロ歩けば目的の岬まで辿り着く。 先…

続・カミーノ 風が強く吹いていた

十一月七日(月) 続・カミーノ巡礼四日目。朝からお腹が痛くてやる気が出ない。どうしようもないので一時間ぐらいかけてゆっくり準備した。今日は二十キロ歩く。冷静になってよく考えてみるとまあまあな距離だけど、いまさら焦りはしない。 昨日メニューピ…

続・カミーノ 心に赤い気球

十一月六日(日) 続・カミーノ巡礼三日目。八時。今日は十二キロしか歩かないのでゆっくり起床した。いつもとは違い、周りの巡礼者も不思議とお寝坊気味だ。まだ寝ている人もいるくらい。 宿併設のバルが朝ご飯を出してくれるらしいので期待して食べに行っ…

続・カミーノ piano piano

十一月五日(土) 続・カミーノ巡礼二日目。七時半頃目を覚ますと部屋の中にはもう誰もいなかった。また私たちが最後の客になりそうだ。まあ、それもいいか。キッチンに降りて二人で静かに朝ご飯を食べていたら、巡礼仲間が外へ出る直前に「piano piano」と…

続・カミーノ 冬の光 

十一月四日(金) 続・カミーノ巡礼一日目。そんなわけで私たちはサンティアゴ・デ・コンポステーラからさらに西、地の果てと呼ばれるフィステーラの岬を目指すことに決めたのであった。詳しくは昨日のブログを読んでください。 九時半出発。朝から今後の旅…

カミーノ 第一部、完

十一月三日(木) カミーノ巡礼三十六日目。今日はとうとう最終目的であるサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂を目指して歩く。残り十九キロ。ほんとうにもう終わりなのだと思うと朝から無性に切なかった。日に焼けて肌はダメージを負い、雨風に吹かれ…

カミーノ 日々の差分を生きていく

十一月二日(水) カミーノ巡礼三十五日目。七時過ぎには自然と目が覚めた。周りを見るともうすでにもぬけの殻になっているベッドもちらほらある。いつもと同じように夫の起床を待ちつつ荷造りを始めたが、今日はなかなか起きる気配がないのでどうしようかと…

カミーノ 通りすがりの神父

十一月一日(火) カミーノ巡礼三十四日目。他の巡礼者たちのアラーム音で六時半には目が覚めた。まだ眠かったけど、今日は二十八キロも歩くしちょうどいいや、ということでそのまま荷造りを開始することに。のんびりやっていたらそのうち夫も起きてきたので…

カミーノ プリンの確率

十月三十一日(月) カミーノ巡礼三十三日目。七時過ぎ起床。朝から小雨が降っていた。 昨日スーパーで買ったブラウニーがあったので、宿のキッチンで食べてから出かけた。今日は二十五キロだ。 八時半。昨日、最後の最後に頑張って登った階段を降りるところ…

カミーノ 言葉はスリル

十月三十日(日) カミーノ巡礼三十二日目。今日はちゃんと七時過ぎに起きることができた。ドミトリーだからというのもあるけど、早めに寝たのが良かったのだと思う。疲労困憊で宿に着いて、風呂入って、ご飯食べて速攻寝る、みたいなことひさしぶりにをやっ…

カミーノ 緑は神聖な色

十月二十九日(土) カミーノ巡礼三十一日目。またやっちまったよ、二度寝。七時半頃に一度目が覚めたのだが、夫はまだ寝ているし、外から聞こえる雨音が心地いいしでつい……。起きたら十時前だった。カミーノではじめて個室に泊まった時も大寝坊して、それ以…

カミーノ 曇り空は溶けたクリームソーダ

十月二十八日(金) カミーノ巡礼三十日目。いよいよ巡礼を始めてから一ヶ月が経過した。ありふれたことを言うようだけど、長いようで本当にあっという間だった気がする。順調にいけばもうあと一週間もしないでサンティアゴに着いてしまうのだと思うと、なん…

カミーノ ワイルドなさかなちゃん

十月二十七日(木) カミーノ巡礼二十九日目。今日は元々十九キロぐらいしか歩かない予定だったので、遅めに起きてのんびり支度をした。夫の体調はすっかり元に戻ったようだ。良かった。とはいえまだ病み上がりだし、様子を見つつ焦らずに行きたい。 朝ご飯…

カミーノ 踊れるぐらいの元気さ

十月二十六日(水) カミーノ巡礼二十八日目。今日も二十五キロ歩く。二十キロだと身体が鈍るし、三十キロは疲れて何も出来なくなるので、このぐらいの距離がいちばんちょうどいい。 八時過ぎ。出発してすぐにかわいい壁を発見した。エジプトの神様たちが巡…

カミーノ ULTREIA SUSEIA

十月二十五日(火) カミーノ巡礼二十七日目。朝起きると隣のベッドに夫がいなくてびっくりした。神隠しにあったのかと思って探してみるとロビーで寝袋にくるまって寝ている。事情を聞くとどうも夜中ダニに刺されて逃げてきたらしい。目が腫れていてかわいそ…

カミーノ 鉄の十字架

十月二十四日(月) カミーノ巡礼二十六日目。微妙に小腹が空いていたけど、宿のバーカウンターは混んでいるのでとりあえず出発してしまうことにした。時刻はまだ八時前。いい滑り出しだ。今日は二十五キロ。 いつものごとく外で水を汲んでから出発。ただの…

カミーノ あちらにもこちらにも虹

十月二十三日(日) カミーノ巡礼二十五日目。今回泊まった宿は七時で一律客を起こすことになっているらしく、朝の挨拶と共に時間で電気が点いた。同じ部屋にいるたち人がどのぐらい起きているのか、明かりをつけるのに適した時間帯かどうか、お互い気を遣い…

カミーノ ハンギョドンシールあげる

十月二十二日(土) カミーノ巡礼二十四日目。今日は三十キロ歩くので六時半には起きた。三十キロ……なかなかしんどい距離だが、それより以前の町で泊まろうとすると今度は十四キロしか歩かない計算になり、調整が難しい。すべての町にアルベルゲがあるわけで…