恋がわからない

 一カ月前にできた彼氏と別れることになった。全然好きじゃなかったはずなのにさみしいと感じてしまうことがふしぎだ。でも、だからといってひきずったり泣いたりすることはなさそう。やっぱり、胸のつかえがとれてほっとした、という気持ちのほうが大きい。我ながら酷い話だなあと思うので、今後はちゃんと好きなひととだけ付き合うことにする。

 

 と、ここまで書いたところで、急激に「いや、そもそもお前は恋愛を諦めろよ」という気持ちが湧いてきた。

 

 今回の件でついに元カレの数が片手で収まる範囲を超えてしまったわけだが、そのうちの誰一人として三カ月以上続いたためしがない。いまだに好きなひと、いまだに憎んでるひと、あんまり記憶に残ってないひと。年上、年下、同い年。悔しいけど遊ばれたんだな、と感じたこともあれば、短期間なのに本気で優しく尽くしてくれたひともいた。いろんなパターンがあったけど、結果はいつも同じ。

 

 てか、恋愛って何なの?わからん。定期的に会って、話をし、同じ景色を見たり、同じ体験を共有したり、同じ感情を分け合いながら、キスしたり抱き合ったりすること?わからんわからんわからん。わからんっていうか、なんとなくのイメージは浮かぶんだけど、それを具体化しようとすると途端に混乱が起きる。

 

 特定のフォーマットを頼りに関係構築しようとしているなこのひとは、というふうに感じると気持ちが冷めるくせ、自然に沸き上がる感情のみを頼りに行動されると「不誠実」とか「言動に一貫性がない」といった言葉が浮かんできてしまう。わからないわからないといって嘆いたりするわりに、正解を知っている人のことはあまり好きになれず、正解を知らない者同士でくっつこうしては必ず失敗する。

 

 なんなんだこれは。どこなんだここは。

 

 もう本当に意味がわからない。

 

 人を好きになったり、誰かに憧れを抱いたりすることはこれからもあるだろう。そりゃもう、たくさんあるだろう。でも、きっと私はそのうちの誰とも長く付き合うことが出来ない。私には何か大きな欠落がある。本当に怖いのは、誰かを失うことではなく、その事実を受け入れることだ。そしてそれができないからこそ同じエラーを吐き続けてるんだろうな。自然と誰にも相手にされなくなるまで待つしかない。