鶏小屋のみどりの扉をひらくと
まだ幼い妹の死体が
血も流さずに横たわっていたので
わたしは 白すぎる太陽を背に
草むらの上へしゃがみこみ
二回だけ まばたきをしてみた
冷たくなってしまった妹は
あいかわらずやわらかなままで
動物たちの鳴き声を聞いても
怖がって泣きださないのが
不思議なぐらいだ
家から持ってきたりんご酒は
倒れて 割れて 地面を わたしの足を
黒く濡らしている
背中を焼く恒星の
温度を全身ではかりながら
こうしてずっと
途方に暮れているのが
いちばんいいのだと
静かに思った