石の魂

誕生の朝 ちいさな箱をもらった

そっと中を開けてみると

まっしろな綿毛を台座にして

ちょうど真ん中のところに

まるい つるつるの

みょうな石ころが置かれている

図書館にはたくさんの子どもたちがいて

みんな裸のまま ころころと犬のように

じゃれたり ねむったりしていて

なかにはぴかぴかと白や黄

あるいは青 ピンクに

光っているものもいた

子どもたちはみないちように

ひとつずつ 箱をもらったみたいだ

ちょうど隣にいた子が

レモンイエローの大きなリボンを解く

すると中からは 大輪の向日葵が出てきた

どうも おんなのこでは特に

花をもらったものが多いようである

へんてこな どうでもいいような石を

ぼんやり眺めていると

だんだんかなしくなってきて

わたしはそれを捨ててしまおうとおもった

するとどうだ

石はわたしの手のひらから逃げ出して

うさぎみたいに飛び跳ねながら

こつん と乾いた音を立てて

向こうの壁にぶつかった

あわてて駆けよってみると

薄いブルー色の やたらにまるい

ぜんたいに白いマーブル模様がある

そのちいさな石に

金色の裂け目が

いくつも いくつも

できている

そうして拾い上げた石が

あまりにきれいで

それに かわいそうで

なんだか放っておけないものだから

わたしは幾百億の時間をかけて

そいつを見つめ返し

何度か頬ずりなどもして

それで

気がついたときにはすっかり老いて

神様の前に いた