宇宙の瘤

魂の

整形手術を受けました

 

たとえば

真夜中のバス停で

殺しのアナウンスを聞いているとき

世界はトレーシングペーパーによって

無限に転写され続けている

 

あなたと私

から

私はあなた

に移行した王国で

土砂降りの音のスコール

ゆっくりくぐり抜け

何度もこっち側に来たことがあると

気がついたから泣いたんだ

 

すべての言葉と物は置き換え可能だから

接続詞はもういらないね

 

存在 とおもいながら

宇宙の瘤は目を閉じたのです

 

 

(☆ココア共和国2022年4月号傑作集Ⅱに掲載していただきました)