欲しいものがいくつかあった
世間はピカピカしていた
飼い主をひっぱる子犬
はだかになった柘榴の木
蜂蜜酒をかけられて
酔っ払ってるバニラアイス
バーカウンターの向こう側は
五右衛門風呂の話で
賑わっているようだ
ここにいると
心が
ドラム式洗濯機になってしまうな
クリスマスを何日も過ぎたのに
赤いセーターを着ているのは
ぼくだけだった
ぼくだけに なってしまった
宇宙のふしぎをたっぷり詰めた
明るいショート・ショート集の
いちばん好きなページを
古本屋へ売りに行くときの顔で
ほんとうはみんなとダンスがしたい
だけどできるのは
店の片隅で
小さな鶴を折ることだけだ
そんなぼくの頭にも乗ってくれる
赤い苺を探しに行こうと思う
(☆鯨骨生物群集ネットプリントvol.4に寄稿しました。2022年1月10日発行)