七月十二日（火）
いよいよ出発！
新婚旅行の始まりとして、まず熱海にやって来た。われわれは熱海が好きだ。二人揃って遊びに行くのもかれこれ四回目になる。通常であれば同じ駅からいっしょに向かうところだけど、今回はそれぞれの実家から出発して指定の電車の中で乗り合わせることになった。私が早々に携帯会社の回線を休止ししてしまい、Wi-Fiがない環境下でインターネットを使えないため、事前に共有してあった情報のみを頼りに落ち合う。地元の駅から大きな駅に向かうバスが思いの外遅れてヒヤヒヤしたり……、不便ではあるけれど、こういうのもたまには楽しいと思った。
△鮭Tを着るさかなちゃん（夫と色違い）
△熱海／サンビーチ
到着。めちゃくちゃcloudy。なんで？ついこの前まで異常気象並みの暑さだったのに。昨日だって普通に晴れてたじゃん！海入る気満々で下に水着きてきちゃったよ。どうしよう……。
と、一時は迷いを感じたものの、歩いてるうちにだんだん蒸し暑くなってきたので普通に入ることにした。最初は水の冷たさにびっくりしたけど、まあ慣れる慣れる。子供の頃このぐらいの気温でプールの授業やったりしたよね、と夫。
海辺のジョナサン。お酒飲んで盛岡冷麺食べた。眠くなってきたのでゲストハウスにチェックインしてお昼寝。起きた頃には雨が降り始めていた。ちょうどいい時間になるのを待って、腹ごしらえをするために再び街へ。歩いている最中、燕の巣や写真撮影中の長州力を見かけた。幸先がいい。
たまたま見つけた魚がメインの小料理屋さん。ご主人ひとりで切り盛りしているため、基本はお任せコースになるとのこと。後から入ったお客さんが「それってだいたいいくらぐらいになりますか？」と聞いていたが、「そんなのわかんないよ」「その時によるからさあ」との返答だった。このおおらかさ、いいなあ。そんでもって出てくる魚が全部めちゃくちゃ美味しい。白身魚の西京焼きから始まり、ご主人が独自に研究して作ったという海老の塩辛やゆべし（いわゆる和菓子ではなく珍味のほう）も振る舞ってくれた。自家製の梅干しやラッキョウも格別。店内のテレビからは延々昭和の歌謡曲が流れてくる。日本酒をやりながらいろいろ食べさせてもらって、最後は刺身でシメた。マンボウの肝が美味い。フラッと入ってしまったわりには高くついちゃったけど、そこも含めて乙な店だった。竜宮城にはじめてやって来た亀の気分だ。夫は呑みすぎたのか宿に帰ると酔い潰れるようにして寝た。
七月十三日（水）
起きて早々、「昨日の美味しかったね！」「海老の塩辛も、ゆべしも……今までに食べたことのない味で……」「でも、でも、やっぱり高かった……！！」と悔い・モードの夫。そこでしか食べられないものを食べたわけだし、めちゃくちゃ美味しかったから値段自体は正当なんだけど、単純に入るタイミングをミスったと。それは本当にそうだと思った。これから海外旅行を控えているって時にフラッと入って二万は痛えよ！
酔いが覚めた今となっては「まあそこも含めていい勉強代だったよね……」ともならず、夫は顔を洗っている私の真後ろで「お金使いすぎた音頭」を踊った。そういうわけで今日は節約モードで過ごすことに決定。
相変わらず空は曇り。海を眺めながらコンビニのおにぎりを食べた。途中、お気に入りのジェラート屋さんに立ち寄ったら所持金が六百円とかに。でも気にしない。
死ぬほどダラけている鳩や「愛（まごころ）」と書かれた石碑を鑑賞しつつ、秘宝館があるほうまで海辺を散歩。公園で夫にカメラを向けると、「昨日お金使いすぎた拳法」を披露してくれた。高くて美味しいものを食べておきながらテンションがダダ下がりしていてはあまりにコスパが悪すぎるので、いつもより元気とのこと。
？
去年偶然立ち寄って以来、お気に入りのジャズ喫茶を再訪。相変わらず素敵な雰囲気でよかった。
駅前でオムライスを食べて出発。さようなら熱海！
☆
移動して東京・上野へ。疲れていたようで電車に乗った途端爆睡した。明日はいよいよ日本を発つ日だ。夫が取っておいてくれたホテルにチェックインすると、すぐベッドに飛び込んだ。眠い〜。
