イスタンブール なんかうまくいかない

八月八日(月)

 六時半頃、雨の音で目が覚めた。暑い地域にいた期間が長かったので、ここは雨降るんだ…!と思うとちょっと嬉しい。

 

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 二度寝した後、朝昼兼用ご飯を食べに外へ。スパイシーケレパチャ(羊の頭を使ったスープ)があると聞き、さっそく頼んでみた。優しい味付けのケレパチャもよかったけご、これはこれで美味。やわらかい羊の頭肉と辛味がマッチしてる。

 

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 食後のデザートに夫おすすめのライスプディングを食べた。お米で作ったミルクプリンみたいなやつ、とのこと。杏仁豆腐みたいな味がした。



 宿に戻って昼寝。


 正午過ぎになるとだいたいの人は出かけてしまうらしく、起きた時には八人部屋の中に私たち夫婦しかいなかった。夫もその辺を散歩してくるというので、見送って私はベッドでゴロゴロ。長距離移動の疲れが残っているのかいまいちやる気が起きない。

 

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 宿の飼い猫を眺めながら本読んだりして過ごした。この子はクロード・モネって名前らしい。昨夜オーストラリア人のおじちゃんに教えてもらったんだけど、すごく高田純次的な性格の人物だったからほんとなのか?とちょっと疑っている。まあ、だとしても素敵な名前だ。飼い猫はもう一匹いて、そっちはクレオパトラっていうらしい。

 

 今日はそんな感じでダラダラ過ごした。

 

八月九日(火)

 今日はちょっと観光しようか!という話になり、有名なガラタ橋近辺まで足を伸ばすことになった。

 が、宿を出発してものの五分でプチ喧嘩勃発。


 きっかけはほんとにしょうもないことなのだが、簡単に言うと夫が抱えている「英語でのコミュニケーションがうまくいかない!」というストレスを私が迂闊な発言で爆発させてしまったようだ。夫は(自分にも他人にも)イライラしているし、私は私で意気消沈してしまいなかなかよくない雰囲気になった。

 一応お互い謝りはしたものの、ここ最近似たような「うまくいかなさ」が続いていたのもあり、適当に笑って流すのはそろそろどうかなという気もする。そこで以下の通り自分の心情を伝えた。


・正直に言って私も最近イライラしている。トルコはいい国だけど微妙に合わない部分もあるし、何より長距離移動の連続で疲れが溜まっているのが大きい。

・旅がはじまってもうそろそろ一ヶ月だし、どうしても不満が噴出しやすい時期なのだと思う。

・心の余裕が少なくなっているのを自分でも感じる。普段は笑って許せるあなたの無計画さやだらしないところにイラッとしたりする。ごめんなさい。

・だからあなたがイライラするのもわかるし、仕方ないと思う。

・でもやっぱり不機嫌になられると悲しいし、私も自分の心の狭さがいや。せっかく旅行に来たのだから楽しくいたい。


 仕返しに文句を言っているだけだと思われないか不安だったが、結果としてはちゃんとありのままが伝わったので良かったと思う。そこから「トルコのここが微妙に合わない・うまくいかない」という話に発展していき、愚痴を言い合っているうちにだんだん気持ちが解れていった。

 常にポジティブでいられたらもちろんそれが最高だけど、変にストレスを溜め込んで間違った方法で爆発させるぐらいだったらネガティブな気持ちも小出しにしていった方が絶対いい。

 

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 地下鉄の一回乗車券(十五トルコリラ)を買おうとしたら券売機が二十トルコリラまでしか投入できない仕様になっていて詰んだり(お金を細かく崩すためにわざわざ地上まで戻って売店で買い物をした)、道にたぬき用の罠みたいなやつが生えてて転びかけたり(一方通行であることを車に報せて侵入を防ぐための装置だと思われるが、やたらギザギザしていて危ない)、宿をチェックアウトしたあと荷物を預けていいかホストに確認したら三十トルコリラ請求されたり(そんなに高い値段でもないが、いままで旅をしていてこのサービスに対価を請求されたことは一度もなかったし、チェックイン時にぼったくり価格のツアーを勧められたことも相まってなんか絶妙にセコく感じた/※いま泊まってる宿のことではない)、国自体が大きい上に観光の名所があちこち散らばっているから要所を全部抑えようとしたら十時間以上の長距離移動が複数回必要だったり……誰が悪いわけでもないし、適応できない私たちにも問題はあるけど、でも、でもなんかちょーっとずつちっちゃい嫌が蓄積していくのよ〜!!!


 という話を笑ってしつつ、金閣湾の橋の上にある駅までやってきた。眺めがとてもうつくしい。水の上を電車で通ることができるのはロマンだ。

 このようにトルコにはすてきなところもたくさんあります。ご飯だって美味しいし大概の人はとても親切でチャーミングです。

 

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 散歩がてら大きなバザールへ。豆、お菓子、スパイス、石鹸、香水、服、アクセサリー類等を売る様々な専門のお店が軒を並べている。ものすごい人の多さで、「スリに気をつけなくてはいけない吉祥寺」ってかんじだ。

 

 あれもこれも絶対に観光客向けの値段設定……というのはわかりつつ、お祭りっぽいムードに乗せられて気に入った香りの石鹸を買ってみた。使うのが楽しみだ。

 

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エドまっちゃんのみせ

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△マスコット屋さん


 進んでいくうちに規模が吉祥寺の比ではないことに気がついた。いくつかのバザールが密集して繋がっているのか、どっちにどう進んでも店店店店というかんじでぜんぜん終わりが見えない。

 

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 三十分ぐらい周辺を歩き回ったところで行き当たった入り口。グランドバザールと書いてある。では今まで私たちがいた場所はいったい……?後から地図を見返してもどのへんを歩いていたのかいまいちよくわからなかった。


 ただ、あっちは電気系の通り、こっちはおもちゃ屋さんでそっちは宝飾品店、みたいなかんじでざっくりエリアが分かれているので、欲しい物の目星をつけるのは比較的楽だ。

 

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△今回のお買い物/石鹸とスカーフ


 私はトルコ人女性のムスリムファッションがとても好きで(シンプルかつフェミニンなデザインのワンピースドレスと、それにぴったり似合う色・柄のスカーフをコーディネートしているのがとてもおしゃれ)、フェティエにいた時から素敵なスカーフが欲しいと思っていたので、これという一枚を見つけることができて嬉しかった。

 

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 フレッシュジュース飲んで休憩。さっそくスカーフを巻いてみようと試行錯誤していたら、近くの席に座っていたおばあちゃんと目が合ってジェスチャーで「GOOD」ってしてもらえた。自己評価は武蔵坊弁慶かひょっとこだけど……。

 

 面白かったのが、私がスカーフを巻いた途端客引きの第一声が「Chinese!」から「Malaysia!」に変わったことだった。Japaneseです。

 

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スルタンアフメト・モスク(通称ブルーモスク)


 せっかくなのでそのまま歩いてブルーモスクへ。改修工事中だった。

 

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 モスクに入るにあたっての服装規定が近くの看板に書いてある。入り口のところに風紀委員みたいな人たちが立っていて、露出部分が多い場合はスカーフやスカートを貸してもらえるみたいだった。だから手ぶらで来てもオッケー。あと、男性の場合は半袖半ズボンでも大丈夫だった。


 中に入ってみるとけっこう自由な雰囲気で、真剣に礼拝をしている人もいれば子供を遊ばせている人もいる……といった感じ。ちょっとした市民の休憩所としても機能しているのかなあと思った。

 

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 ガラタ橋近辺。金閣湾を眺めながらしばらくのんびりした。そういえば今日で付き合って二年(!)だよね、こんな日にさっきはごめんね、という話を再度してすっかり仲直り。よかったよかった。

 

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△ばかのメニュー表


 お祝いに一杯やりにいった。酒類を提供している店も探せばあるにはある。

 

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 飲んでいたら薔薇売りの少年がやってきて、一度は断ったもののあまりにシチュエーションがハマりすぎていたので結局夫が買ってくれた。嬉しい。

 最初はどうなるかと思ったけど、いい一日になってよかったな。


 ……と、思っていたら今度は会計時にクレジットカードが上手く使えず(夫の手持ちカード三枚ともエラーが出てダメだった)近場のATMまでお金をおろしにいくハメに。いやだからこういうとこやねん!!とツッコミながら宿に帰った。