九月十七日(土)
今日は本当に何もしない一日だった。昼近くになって目を覚ますと外は雨、気温も十二度と冬寸前の気候だ。ウィーン観光の疲れで体は重く、ご飯を食べるために近くのケバブ屋さんまで出かけたのがやっとだった。この旅最大……どころかこの人生で最大ぐらいのサイズ感に思わずテンションが上がったが、あまりにボリューミーすぎて食べきれず。持ち帰り用の袋をもらって夕飯にすることにした。ケバブ、ポテト、飲み物のセットで百五十五コルナ(約九百円)。ウィーンよりは安く感じるけど、半分の量・半分の値段で売ってくれたらもっと嬉しい。
食べた後は速攻で宿にとんぼ返り。こういうダルい感じの日も、なんだかんだで夫は「冒険してくる!」と宣言して散歩に出かけることが多いのだが、今日に限っては二人ともひたすら寝て過ごした。こういうこともある。
夕方になってから少し外を散歩した。明日に期待!
九月十八日(日)
今日は早起きして街でやっているフリーマーケットまで出かけた。毎週土日だけ開催しているらしい。
アンティークの雑貨、古着、日用品、食料、中にはこんな物まで売っていた。かっこいい折り畳みナイフが欲しくなったけど、この後飛行機に乗る予定が控えているのでひとまず我慢。
食べ物系の屋台がけっこう出ている。私たちもソーセージとパンのセットを頼んでみた。ドイツと近いだけあって本当に美味しい。ビールとよく合った。
かわいい食器類。でも、どれだけ心ときめいても長旅の最中にあることを思うと買えない。割れ物・壊物は保管するだけでも大変だし、重い持ち物がひとつ増えればそれはダイレクトに自分自身の負担となる。そう思っていたのだが……。
よっ!
なんだかすごくかわいい子を見つけてしまった。一度は諦めて売り場に戻したものの、帰りがけに目にしたらどうしても捨ておけない気持ちになり……。「こんにちは、ぼくうさぎのうさたろ」「にほん?ってとこからきたんだね〜」とかアテレコして遊んでいるうちにどんどん愛着が湧いていってついに買ってしまった。わーん。かさばるってわかってるのに……でも嬉しい!かわいい!
フリーマーケットを回ったあとはそのまま街の中心へ。
△プラハの天文時計
プラハといえば時計。見方がいまいちよくわからなかったのだが、たぶん、時間だけではなく現在の太陽星座?がわかるようになっている。今はちょうど乙女座の季節。
とてもかわいらしい街並み。ウィーンが威厳ある洗練された雰囲気だったのに対し、プラハはちょっとおもちゃっぽいというか、テーマパーク感があってこれはこれでよかった。銀座とディズニーランドぐらいの違いがある。そこら中のカフェや洋菓子店から甘い香り(ホットココア?キャラメル?)が漂ってきて、歩いているだけでポップな気分になれる。
△フランツ・カフカ 顔のオブジェ
プラハといえばフランツ・カフカの出身地。この近くに像があるらしいよ、と聞いて行ってみたら想像していた姿とだいぶ違った。普通はもっとこう、全身を模した銅像とかになってるものだと思うのだが……。しかもこの像、十五分置きに回転するらしい。そう知ってしばらく待ってみたのだが、定刻が来ても動く気配はゼロ。タイミングが悪かったのか、故障中なのか……。最初は十五分と聞いていたのにいつの間にか三十分が経ち、一時間が経ち、そして一日経っても何も起こらず、最終的に彼は死んだ、みたいな小説、カフカの作品にありそうだよね。って二人で話した。
向こう側に見えるのがカレル橋。うさたろも一緒に記念撮影。
この素敵なゴシック様式の門を潜って橋を渡る。
橋の上にはたくさんの聖人像が建てられている。
たまたま近くにあったレノン・ウォールと呼ばれる壁。ジョン・レノン自身が何かした場所というわけではないらしいのだが、なぜか壁一面に彼関係の絵がたくさん書いてある。ビートルズって実はけっこう変なバンドだよね、という話を夫がしてくれた。
歩いてフランツ・カフカ博物館へ。中は撮影禁止だった。カフカが父親に宛てた手紙や、日記の断片、落書き、病気の診断書などが展示されていた。
近くにあったお菓子さんで人型のクッキーを買って宿に帰還。
九月十九日(月)
今日でプラハの宿はチェックアウト。大きな荷物だけ預けてストラホフ修道院にやって来た。
中はこんな感じ。
ここは併設の図書館が美しいことで有名らしいのだが、チケットカウンターで中には入らないと言われてそちらは諦めた。
代わりに敷地内にあるビール醸造所で一杯やった。店内BGMがなぜかゴリゴリのメタルでおもしろい。夫は黒ビールを、私はさくらんぼ風味のクラフトビールを頼んでみたのだが、どちらも違った味わいがあって美味しかった。
特に行く当てもなくプラハの街を歩いた。ホットチョコレート専門のお店を見かけてなんとなく入ってみたら大当たり。昨日から良い香りに誘われて甘いものが欲しくなっていたので嬉しかった。
カレル橋再び。
昨日は気にならなかった像が目に止まった。牢屋みたいなところに罪人が閉じ込められていて、ちょっと不吉な感じ。聖書の一場面だろうか。
磔刑に処されるキリストの像。
プラハは特に何かしなくてもその辺をフラフラしめいるだけで楽しいから良い街だと思った。
△うさたろも乗車
一旦宿に戻り、荷物を取ってバスステーションへ。今日はここからチェスキークルムロフという街まで行く。
疲れていたのか気がつくと眠っていた。綺麗な田園地帯が延々と続いている。
十九時、チェスキークルムロフに到着。
落ち着いた雰囲気のプラハといった感じでとても気に入った。明日の観光が楽しみだ。