九月二十日(火)
今日は朝から晴れだった。オーストリア以降ずっと天気の悪い日が続いていて、雨が降ったり止んだりの繰り返しだったのでこれだけでもうけっこう嬉しい。
街の中心にあるインフォメーションセンターで荷物を預けてまずはチェスキー・クルムロフ城へ。チェコで二番目に大きい城らしい。ちなみに一番はプラハにあるプラハ城。我々は行かなかった。
門を抜けてふとお堀を覗くと熊がいた。ペット……?
お城の中は博物館になっており、当時の地方貴族の暮らしを再現した室内展示の数々が興味深かった。ハプスブルク家はかなり例外的な存在なので、どちらかというとこっちのほうがリアルだ。
塔の上からの眺め。今日でチェコを離れることになるうさたろにもきちんと見せてあげた。これが故郷の姿だよ〜。
回廊。
城を出た後は近くのザーメツカー庭園で少し休憩した。林檎を丸かじりしておやつにするのが最近好きだ。社会科見学か修学旅行で来ている子供たちの集団がひたすら追いかけっこをしていて、元気だなあと思った。
昨日泊まった宿のオーナーさんが美味しいチェコ料理のお店を教えてくれたので行ってみた。中世を舞台にした映画の中に出てきそうな、大食らいの兵士たちが樽ビールでも飲んでいそうな、なんかそんな雰囲気だ。大勢の観光客で賑わっていて、人気なんだなと思った。
グラタンパン。ガーリック風味のコンソメスープにチーズがたっぷり入っていて美味しかった。この後メインディッシュが来るのも忘れて食べ過ぎてしまう。
ひさびさの良いお肉。じゃがいもから野菜特有の水々しさを感じるほどジューシーな肉だった。というか、量がすごい。三分の一ぐらい食べきれずにまた包んでもらった。
でもケーキは別腹。サクサクしたスフレ生地で食べやすかった。
お腹がいっぱいになったあとはまた街の中をブラブラ散歩。さっき登ったお城の城壁がすごかった。
きのこ?
猫。珍しいぐらいの虎柄だった。
小銭を消費するためにお菓子屋さんでペロペロキャンディを買った。たくさんあって迷ってしまったけど今回はハート型に。
十六時四十分、プラハに戻るバスに乗車。良い街だった。
☆
二十一時。プラハ発の寝台列車に乗ってポーランドに向かう。 バス停に着いたのが列車の発車時刻二十分前とかで死ぬほど焦ったが、なんとか乗車。雨の中息を切らして走った甲斐があった。ずっと乗ってみたかったので嬉しい。到着は明日の朝六時頃になるので、それまで少しでも眠れると良いな……。
こんな感じで座席にシーツと毛布を敷いて横になる。私たちが席をとったのは四人部屋タイプのコンパートメントで、他にも一人お姉さんがいた。ウクライナから来たと言っていたが、あまり深い事は聞けず……。紅茶とハリボーを交換し合って笑った。
九月二十一日(水)
六時。ポーランドのクラクフに到着。思っていたよりもよく眠れた。バスと違って足を伸ばせるのが良かったみたいだ。
宿のチェックイン時間まで九時間ほど空くので、ひとまず駅の中のカフェでコーヒーを飲んだ。クラクフ滞在中にアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館へ行く予定なので、ナチズムを中心に第二次世界大戦の歴史について勉強しつつ過ごす。だいぶ気分が滅入ったが、その場で夫に思ったこと・感じたことを吐き出して意見交換することができたのでまだ救われた。
一旦宿に荷物を預けて街歩き。歩きながらまたいろいろ考え込んでしまったが、ポーランドスタイルのドーナツ・ポンチキを食べて少し回復した。揚げる時、油が奥まで浸透しないようにスピリタスを使っているとかで、全然ギトギトしておらず食べやすい。夫はピスタチオクリームのやつ、私は薔薇の味のやつをそれぞれ頼んだ。
十五時までお散歩。教会で私にしては珍しく世界平和を祈ったりした。戦争はダメ!