クラクフ 地方都市の暮らし

九月二十二日(木)

 昼近くになって目が覚めた。外は大雨、というかもはや嵐。本当はレストランかどこかで食事をする予定だったのだが、宿から出た途端にますます雨脚が強くなったので諦めることにした。

 

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 代わりに近くの市でお惣菜をいくつか買って帰った。ロシア風の餃子みたいなやつが美味しい。中にはマッシュポテトが詰まっていた。

 

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 食べ終わって気が付くと昼寝していた。昨日は朝早くに駅に着いて睡眠不足のままあちこち動き回ったから疲れたのだと思う。夜も外へは行かず宿のキッチンで自炊して食べた。夫が作ってくれたパスタが美味しい。スーパーで何が書いてあるかよくわからない瓶やソースを買って試してみるだけでも充分冒険になる。

 

九月二十三日(金)

 眼鏡のフレームが壊れた。旅に出てから雑に扱うことが増えたせいもあり、最近なんだか形がガタガタだなあとは思っていたのだが、ついに片側のツルが取れてしまった。どうにか直せないかと町の眼鏡屋さんに持って行ってみるも、パーツの一部が壊れてしまっているので難しいと言われる。二軒目を回ってみても答えは同じ。親切な店員さんが「この近くに大きなショッピングセンターがあって、そこだったらどうにかなるかも」と教えてくれたので、ひとまず路面電車に乗って向かうことにした。

 

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△左側が壊れた

 

 結果、どうにかくっつきました!ありがとう!誰に見せても難しい顔をされるのでもう無理かと思ってた。腕のいい店員さんが諦めずに頑張ってくれたおかげです。元の壊れ方的にこれ以上曲げることは金輪際できないみたいだけど、気を付けて扱っていれば当分は持ちそうだ。視力が悪い者にとって眼鏡は普通にインフラなので命拾いした。

 まあ新しいものを買っても良かったのだけど、海外は日本と違って眼鏡会社独自の安価なフレームというのがあまりないらしく、レイバン等のブランドが出している中から選ぶことになるためどうしても少し高くつくんだよね。だったら帰国するまで我慢して安くかわいいやつを買いたいかな……というのが素直な気持ちだったので、どうにかなってくれて本当に嬉しい。

 

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 ついでにフードコートでお昼ご飯。マクドナルドやサブウェイが立ち並ぶ均一的な風景を見てなんだかすごく安心した。こんなのもうイオンモールポーランド店じゃないか。今の時代、どこの国の人もそう大差ない環境・文化の元に生きているもんだろうね、と夫とも話した。歩いていてテンションが上がるのは石造りの古い街並みだけど、結局あれは観光用の街で、地元の人からすればこちらがリアルなんだと思う。

 

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 バイキング形式でいろんな料理をお皿に盛っていくスタイルの店があって、楽しそうだったのでそこにしてみた。何をどれだけ選んだかは関係なく、百グラムあたりいくらという計算でお会計してくれるのでわかりやすい。

 

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初音ミクカラーの靴

 

 食べ終わった後はアウトドア用品の店を巡ってお買い物。

 今月末からスペインでカミーノの巡礼をする予定になっているため、それに備えて耐久性のある靴や防水具を揃えることになった。

※カミーノの巡礼…キリスト教の聖地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ(聖ヤコブが埋葬されていたとされる場所)を目指して八百キロメートル以上の道を歩くロングトレイル。現在では信仰のためだけではなく、文化的な興味やスピリチュアルの探求の元に歩く人も多い。ちなみに夫は三年前にも一度この巡礼路を歩いており、今回は二回目の巡礼になる。私はもちろん初。

 

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 あちこち回って疲れたので休憩。

 ちょうどいいと思って入った喫茶店が、なんと初日に立ち寄ったところと同じチェーンのお店だった。今日はなんというか全体的に生活感の濃い一日だ。ショッピングセンターで買い物をして、フードコートでご飯を食べて、チェーンの喫茶店でおしゃべり……この辺に住んでいる人にとってのよくある休日を忠実になぞっているような気がした。海外での地方都市暮らしを疑似体験しているようでなかなか楽しい。

 

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 ノスタルジーすら感じる。クラクフはいい街だ。