カミーノ もしも巨人だったら

十月十三日(木)

 カミーノ巡礼十五日目。洗濯物を取り込むために外へ出たらいつもと段違いの寒だったので驚いた。現段階で全行程の半分も終わってないのだけど、このままいったら後半は凍えながら歩くことになるんじゃないだろうか。

 

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 今日も歩くのは二十キロだけなので、ゆっくりめの八時スタート。一昨日あたりに買ったクッキーと紅茶で朝ご飯を食べてから出発した。霧が立ち込めていて先のほうは何も見えない。この景色の中で月が出ているのがロマンチックだった。

 

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 九時。ちょっとずつ視界が明るくなってきた。

 最近はバイクに興味があるという話をしながら歩く。風を感じながら遠くまで移動できるのが魅力的だけど、多くのバイク乗りと同じようにこまめに気遣って手入れするのは性格上難しいかも、みたいなことを言った。

 

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 昨日からずっと景色がいい。

 いつもは一、二時間歩くと暑くなって上着を脱ぐのに、今日は汗をかいても半袖になろうとまでは思えず本気で季節が暮れていこうとしているのを感じた。

 

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 十キロ歩いた地点で最初の町に着いたのでいつも通り休憩。生搾りオレンジジュースが美味しい。

 

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 うさたろもこの通り、芝生の上で陽を浴びながら気持ちよさそうにしてる。「どんな感じ?」と聞いたら「眠くなるね」と言っていた。

 

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 中継地として通り過ぎることになったこのオンタナスもなかなか魅力的な町だった。立ち並ぶ石造りの建物群から古い歴史を感じる。谷の間みたいなところに位置しているというのもグッとくるポイントだ。

 昨日追加で十キロ頑張っていればここに泊まれたんだけど……、とちょっと考えて、まあそれは無理だったなと思い直した。

 

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 十一時半。さすがに少し日差しが強くなってきた。

 そのへんによくわからない大きな岩がたくさん転がっていて嬉しい。夫にそう話すと「もしさかなちゃんが巨人だったらこの中から一個選んで巣に持って帰ってたのかなあ」と言われた。そうかもしれないけど、どんな仮定だ。

 

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 道の途中でこれまた謎の塔を見かけた。城壁か何かの一部っぽい。

 

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 十二時半。ここが今日の目的地……ではない!

 残り三キロぐらいの地点でぽつんと一軒だけ建っているアルベルゲを発見した。古い修道院を改装して宿にしているらしく、見た目の吸引力がすごい。いまは休業中みたいだが、前庭のベンチでみんな休んでいくようなので私たちもそうすることにした。

 

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 子猫もいる。

 

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 三十分だけ休憩して再スタート。あと一時間もしないで着きそうだ。今日はカリフォルニアから来ているご夫婦とよくすれ違った。

 

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 十三時半。今日泊まるカストロへリスに到着。町の入口から一キロ程歩いたところにあるアルベルゲにチェックインした。

 

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 夜はまた夫がパスタを茹でてくれた。なんだかマイルドに体調が悪い。もし明日も同じような感じだったら歩く距離をセーブしよう、という話をした。

 

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 今日の夕焼け。