リヨン 財布を空にして

十一月二十日(日)

 明日の夜にはフランスを発つ。今日は丸一日使って観光を楽しめる最後の日……ということで、蚤の市へ行くことにした。パリで行こうとしたら土日しかやっておらず泣く泣く諦めることになったので、今回はそのリベンジだ。このところ予定を詰め込みすぎてバテ気味だったので、今日はざっと見て疲れたら帰って昼寝、ぐらいのゆるい感じでやっていきたい。

 

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 九時。寝坊気味の夫を起こし、宿が出してくれる朝ご飯を二人で食べた。ホットチョコレート、フルーツジュース、チョコクロワッサン、りんごのピューレがついて一人六ユーロ。六ユーロって響き的に七百円ぐらいぐらいかと思いきや、実は九百円近くするんだよね。

 

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 ゴリラくんは今日もドアストッパーとしての役目を果たしていて偉いな。

 

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 バスと電車を乗り継いで隣町のヴィルバンヌへ。二人とも眠くてやる気が出ず、途中パン屋さんに立ち寄ってエスプレッソを飲んだりした。


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 歩いていて見つけたダーティーなキティちゃん。


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 十一時半。予定よりかなり遅れて目的地に着いた。 これがレ・ピュス・ドュ・カナル、通称「カナルの蚤の市」と呼ばれるフリーマーケットだ。思っていたよりも規模が大きく、全部を見て回るのは大変だった。食器、生活雑貨、服、アクセサリー、家具、本などアンティークのものなら本当になんでもある。調べたらヨーロッパ全体でも五番目に大きい蚤の市だそう。

 全体的に日本で買うより価格が安く、かつ種類も豊富で選びたい放題なのに、荷物がかさばることを考えるとなかなか手出しできなくて苦しかった。


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 シルバニアファミリー・アンティークのおうち。

 

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 あちこち目移りしながらもどうにか選び抜いたブローチとイヤリング。次に行くルーマニアではまた通貨が変わるため、ユーロ札を使い切るいう名目で夫が買ってくれた。にこにこ。すべてかわいい。


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 十三時。早くも蚤の市が閉まりはじめるようだったので退散して駅のほうに戻った。ファーストフードのお店でグラタンを食べる。相変わらず眠い。

 

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 一時間ぐらいかけてリヨンの町に戻ってきた。流れていく雲がきれいだ。帰ってお昼寝しよう。

 

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 最後の夜なので奮発して少しいいレストランに行った。目当てにしていたところがどこも満席で途方に暮れていたところ、たまたま通りがかったお店に一目惚れして入店。内装のすべてが美しかった。今日の蚤の市でいろんなものを諦めた悔しさが供養されていく……。


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 料理も全部美味しかった。特にメイン料理のグラタンが絶品。たっぷり入ったゴルゴンゾーラチーズが最高だった。


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 デザートも良かった。もう見た目からして美しい。メニューには焼きプリン?と書いてあったのでクリームブリュレ的なものを想像していたが、実際にはまったく別のものだった。食べてみると強い弾力があるホットケーキのような感じ。ミルクの風味が濃厚で甘いチーズのように感じられ、付け合わせのバニラアイスやキャラメルソースとの相性も抜群だった。

 最後にいいものを食べられて良かったね、と二人で話しながら一日を締めた。

 

十一月二十一日(月)

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 九時。十時間以上寝たはずなのにまだ眠い。夫はシャキシャキしているのだが私は起きた時からずっと脳に靄がかかったみたいになっていて今にもひっくり返りそう。連日いろんなものを目にし、いろんなことを感じ、いろんな知識を増やし続けた結果、明らかにキャパシティの限界が来ていた。フランスを味わい尽くしたとはまだ到底言えないけど、これ以上長居していたらたぶんやばかったと思う。

 夜のフライトまで時間はたっぷりあったので、夫が買って来てくれたクロワッサンを食べつつマリー・アントワネットWikipediaをひたすら読んでぼんやりした。

 

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 三日間お世話になった宿に荷物を預け、十一時近くになってようやく町に飛び出した。こちらはリヨン出身の有名人が描かれた壁画だそう。誰が誰だかわからない。


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 雑貨屋巡りをしながら妹と母にあげるお土産を探した。それぞれ素敵な手鏡とかわいい布を買えて満足だ。喜んでくれるといいな。

※さかなちゃんの母は手芸が趣味。


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 眠い、ひたすらに眠いのだ。町の中心をひと通り歩いて疲れたのでしばらくカフェで休憩した。十五時過ぎまでインターネットを眺めてダラダラ。

 

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 十七時過ぎ。宿まで荷物を取りに行った後、バスと電車を乗り継いで空港に向かった。

 電子バイオリンと小さなアンプを車内に持ち込み、ひと区間だけマイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』を演奏していったおじさんがいて、こういうこともあるのかとおもしろかった。周囲の"ノッちゃいけない"みたいな空気が逆にジワジワくる。

 おじさんは乗客からひと通り小銭を回収するとすぐに演奏をやめて降りていった。しつこすぎないのがプロっぽい。私も財布に残ってたユーロ硬貨を全部あげてすっきりした。良いタイミングで現れてくれてよかった。

 

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 十八時半。リヨン・サン=テグジュペリ空港に到着。星の王子さまの作者にちなんだ名前の空港から出発できるなんて素敵だ。

 売店を覗いたらこの期に及んでスーツケースが売られていておもしろかった。どういうシチュエーションで需要が発生するんだ。

 

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 二十一時。ルーマニアクルージュナポカ行きの飛行機に搭乗した。ついこの前まで聞いたこともなかった土地を目指して羽ばたくのは楽しいねえ。

 小さくなっていくフランスにさようならを告げた。本当にお世話になりました。


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 別ショット。壊れすぎている私の眼鏡をかけたうさたろ。


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 深夜一時過ぎ。ルーマニアに入国。時差を抜きにして考えると三時間ほどの短いフライトだった。


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 Uberタクシーを使って宿へ。運転手のお兄さんが陽気ないいひとだった。

 アナログな鍵ではなく、セキュリティコードで出入りできるタイプのゲストハウスなので深夜でも楽々チェックイン。あとはもう寝るだけ……。新婚旅行もこのルーマニアが最後になるので、明日からはまた観光を満喫したい。