退屈

2:54

カーテンはまだない

狭い台所で

誰とも心が通わない時間を待っていた

 

9階から見降ろす街は

どこかに病院を宿している

あちこち散らばる青い非常灯

白すぎる廊下の影

鼻を刺激するアルコールの匂い

そういったものたちの羅列

こんなところに教会を産まないでほしい

 

昼間

盗み損ねた林檎を

野菜室にしまおう

 

それで少し気が晴れるなら

 

時計は動いていた

しかし

この部屋に腐りかけのものはない

 

あるものはすべて

新しすぎるか

最初から欠けている

 

道徳はきらい

手首に増えた皺

私が上手に火を扱えるのは

白昼夢のなかだけだ

 

明日 隣人を愛そう

幼さをゆるすときの軽やかさで

ボールの放物線

破裂音

暗転

おしまいの音楽