さかなちゃんは占い師になれるのか?面接編(2)

 というわけで電話占い師の面接を受けてみた。感触としては「うーん!清々しいまでに駄目!」といった感じ。面接というものに対する緊張が強すぎるあまり、出だしから相手の言葉に被せて返事してしまうなど、占い云々以前の問題がいろいろと多すぎた。


 面接の内容としてはやはり模擬鑑定がメインで、採用担当のスタッフさんが演じるキャラクターを相手に架空の相談内容を占っていくという流れだったのだが、


「3年ぐらい付き合ってる彼氏がいるんですけど、なかなか結婚の話が出なくて〜」


 と、切り出されて思わず


「ちなみにご相談者様は何歳ぐらいでいらっしゃいますか?(必殺:変な敬語)」


 と、聞いてしまったのがまずかなりよくなかった。普通に失礼。あと、冷静に考えれば「結婚焦ってる」=「それなりの年齢(少なくともアラサー以上)」なのは明白だし、本当に野暮な質問をしちゃったなあと思う。相手の顔が見えないことで不安にかられ、細かい情報を知りたい気持ちが前面に出てしまったのが良くなかった。


 後半は何とか気を取り直して「そういうのって男性の方から切り出してほしいですよね〜」「でも、まずは相談者様自身の口から言ったほうがいいと思いますよ」「外的なことやタイミングが原因で手放してしまうのはもったいないご縁だと思う」とポジティブな方向へ持ってこうとしたが、もう正直、タロットカードなんか見てる余裕ないし、ひたすら一般論を述べてるだけって感じで終始グダグダ。辛い時間だったな〜。ここ最近で一番辛かった。

 電話占い師で「霊感」や「遠隔ヒーリング」を謳ってるひとがやたら多いのはこういうことか〜と痛感した。対面と違ってあまり無意味な間を設けられないし、だったらカードなんか使わず相談者の話に集中してフリーハンドで降霊とかしたほうがいいよね。


 最後の最後に、


「そういう気持ち(結婚したい)ってすぐに彼へ伝えたほうがいいんですかね?」


 と聞かれ、すごい勢いで


「もちろんですよ!すぐ!すぐ言ったほうがいいです!思い立ったが吉日で!」


 って言ったらめちゃくちゃ笑われて、つられて私も笑っちゃったけど心の中ではひたすら「苦…!!」と思ってました。


 録音しておいた模擬鑑定のやりとりを別のスタッフさんにも聞かせた上で合否を決め、後日結果を知らせてくれるそうなのだが、もういいよー!どうせ駄目だし……いっそ忘れて!無視して!という気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。


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 今回の収穫としては、


・お互いに視覚から得られる情報が何もないため、おそらく対面より電話で占うほうがよっぽど難しい。こちらからは向こうの表情が読み取れないし、向こうもカードが展開されてく様子を見れるわけではないため、100%話術で引き込んでいく他なく、言葉の選び方が間違っていないか、沈黙を気まずいと感じていない等、占いがどうこう以前にコミュニケーションに関する部分がものすごく気になる。

・かといって変に間があかないようにと焦ると今度は喋りすぎてしまい、相談者側にうまく自分の心情を吐露させることができず、これはこれで悪手。電話占いの前にまず人との会話に慣れる必要がある。

・家族や友人、Twitterのフォロワーさん以外を占うのは初めてだったため、全然前情報が用意されていない人物を相手することの難しさをようやく実感できた。普通の会話だってうまくいかないことがあるのに、そこに占いの要素まで加わったら大変なのも不安なのも当然だよね。いずれ訪れる瞬間だったとは思うし、「そういう体験ができた」という意味では受けてみてよかった気がする。

・落ち着いてるときはちゃんとリーディングできていたのに、焦るとまったく駄目で、これはやっぱりまだまだ勉強不足なのもあると思った。

・そもそも自分が電話占いを受けたことがないのがよくなかった。事前に何人かに占ってもらってこういう感じなんだなあと知っておく必要があったと思う。次に電話占いの面接を受けるとしたら自分が占ってもらってからにする。

・この前模擬練習に付き合ってくれた恋人も「彼氏が結婚してくれないと悩んでいる女性」というキャラクター像を出してきたし、やっぱり、占いに来る人の悩みでこれが多いっていうのはある程度決まってて、そこのパターンが掴めればもう少し楽なのかもしれないと感じた。

・相談に対する受け答えからして私ってかなり性格が明るいんだなと思った。


 あたりのことを実感できたこと。なんにせよ、とりあえず試しに受けてみたのは良いことだったと思う。

 さらに恋人から言われたのは、


「今回の面接は絶対無駄じゃなかったよ。面接日っていうケツが決まってるおかげで詰め込み気味に勉強できたわけだから」


 ということ。何の目標もなく勉強しようとするとどうしても自分に甘くなってしまうし(疲れたから今日はいいやとか)、最悪の場合は「いまの仕事を続けてればいいや」と占い業自体を諦めてしまう可能性だってあった。今回は勉強をはじまる前にまず面接の予約を入れたので、何が何でも期日までに最低ラインをクリアしなくてはという気持ちになれたし、結果としてなかなかいいスタートダッシュを切ることができたと思う。たぶん、ここまで乗ってしまえればもうあとは大丈夫だ。いままでがんばってきた時間を無駄にしないためにも、次を目指してまた明日から鍛錬していきたい。


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 面接自体はダメダメだったけど、上記の感想を聞いた恋人が「今日は占い師としての二歩目を踏み出すことができた素晴らしい日だね」「おめでとう」「レベルアップ記念にお祝いしようか」と言ってくれたのでちょっと救われた気持ちになった。受かってもないのにご飯ご馳走してもらっちゃったよ。本当に私にはこの人がいてよかったなあと思いました。