サントリーニ 寝不足プールサイド

七月二十九日(金)

 

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 十一時過ぎ、アテネ行きのバスに乗車。

 昨日来たときはちらほら空席も見られたが、今日は満員以上に人が乗っていて、中には最初の一時間ぐらいずっと立ちっぱなしの人もいた。けっこう山道険しいのに席数だけ売るとかはしないっぽい。バスの乗務員さんがしっかり検札を行なっていたので、無賃乗車してるひとがいたとかではないはず。


 昨日の疲れが残っていたのかバスの中ではずっと寝て過ごした。

 

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 十四時頃、街の外れに到着。地下鉄を乗り継いでアテネの中心部へ。

 一昨日までの宿の近くまで行って、パキスタン料理屋でカレーを食べた。実はここに来るのは三回目だ。辛さと脂の中にしっかりとした旨味が感じられて本当に癖になる美味しさ。しかもカレーセットを二つ頼んで十ユーロなのでなかなか安い。最後にもう一度食べられてよかった。


 満足した後はギリシャの中でも特に有名な島・サントリーニへ渡るためにピレウス港へと向かう。

 

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 船。

 サントリーニ島までは飛行機で行く方法もあり、その方が安いし早いのだが、「船の方がロマンを感じる」というだけの理由で私たちはこちらを選んだ。正解だったと思う。

 

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 さっそく中を探検してみた。デッキに出てみるとこんな感じ。

 

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 「引」って書いてある!漢字表記をひさびさに見た。

 

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 陸のほうも見回してみる。

 

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 十九時過ぎ、予定より三十分ほど遅れて出港。さよならアテネ。いい街だった。

 

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 知らない子供と三人で並んで座って海を眺めている謎の時間があった。最初は気のせいかとも思ったのだが、なんとなく目が合う気がして表情とジェスチャーで応えていたらそのうちに懐いてくれたのだ。どうしてもここに座る!とお母さんに主張して私たちの隣に椅子を持ってきてもらったりしていた。かわいいね。

 

 子供はポテトチップスを食べながら空に飛行機の姿を見つけては私たちにも知らせてくれた。よく目が効く子だった。しかもお菓子までくれた。

 

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 エーゲ海に沈んでいく太陽。

 

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 経過。

 

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 夜の海。

 

七月三十日(土)

 午前三時。目が覚めたのでひとりでデッキに出てみた。

 

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 誰もいないし何も見えなくて怖い。これ以上近づくのは恐怖心のために難しいな、というラインまで行ってしばらく佇んでみた。ライトが少ない二階まで登る勇気はない。



 午前四時半、サントリーニの港に到着。真っ暗闇の中外に放り出される。フィラ(島の中心的な街)まで行けるバスがあったのでとりあえず乗ってみた。

 

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 大きめのバスターミナルで下ろしてもらった。

 ここからさらに宿をとっているペリッサという街まで移動しなくてはならないのだが、なんと七時になるまでバスがない。約二時間、バス停のベンチに座って待つことになった。修学旅行の朝みたいでけっこうワクワクする。


 どこかでパーティーでもやっていたのか、こんな時間なのに薄着で出歩いている若者の集団をけっこう見かけた。近くからもそれっぽい音楽が聴こえてくる。

 

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 午前六時。夜が明けてきた。

 

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 無事バスに乗車。さっきは暗闇でよく見えなかったフィラの街が一望できる。きれいだけど、寝不足すぎて気を抜くとすぐ意識が落ちそうだった。

 

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 宿に荷物を置かせてもらい、パン屋でパンとコーヒーを買ってビーチへ。波と遊んだり、その辺に寝転がって体を休めたりした。時間帯が早かったのもあり、人影がまばらで過ごしやすい雰囲気だ。

 

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 十時近くになって宿に戻ってみたが、まだ部屋には入れないとのこと。かわりに備え付けのプールにいてもいいと言われたので、とりあえずそのへんのシートに寝そべってでダラダラしていることに。水着に着替えてちょっとだけ泳いだ。コーヒーを飲んだばかりというのもあるけど、さすがに寝ようと思って寝られるかんじではない。

 

 数時間待ってのチェックイン後、ようやく少し眠りにつくことができた。

 

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 十五時頃目を覚ました。思いの外体力が残っていそうだったので、島の北端に位置する街・イアへ行ってみることに。夕陽がきれいと有名らしい。昼ごはんは安定のギロピタ。大きかった。


 が、近くのバス停でバスを待つもなかなか来ない。そして来たと思ったらなんと人を下ろすだけ下ろして誰も乗せずに去って行ってしまった。え〜?!私たち以外にもたくさんいたのに〜?!


 仕方がないので十分ほど歩いて始発のバス停まで行ってみることに。そこで待ってダメだったら他の策を講じるしかない。タクシーに乗るか、バイクを借りるか……。


 ペリッサの街自体も充分魅力的なんだし、イアは諦めてこの辺のビーチで遊ぶのでもいいんじゃない?と私は言ったのだが、夫は「ここまで来て行かないのはありえない。そんなの栃木に来て日光東照宮に行かないのと同じだよ」と主張。よく考えてみればまあそれは行かないこともあるだろう……ってかんじなのだが、そこまで言うのならということで頑張って着いていくことに決めた。


 そこからまた数十分ほど待ってようやくフィラ行きのバスに乗車。これがえらい超満員だった。座席と座席の間の通路が全部埋まるぐらい人が乗ってる。これは小さいバス停で待ってる人たちをスルーするのもわかるな、と納得。

(※後から調べたら特急/各停のバスがそれぞれあるようだったのでそれだったかも。)


 しかも問題はこの後で、フィラに着いたら今度はイア行きのバスに乗り継がなくてはいけない。イアの夕陽っていったら普段メジャー意識・ブランド志向の片鱗も感じさせない夫が見たがるぐらいの名物なんだから、もしかしたらヤングでナウな若者たちによる長蛇の列が出来てて辿り着けないかも……?!でもここまで来て諦めるのは絶対嫌だ!どうなるこの旅?!!

 

 

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 普通にちゃんと来ることができました。

 イラ行きのバスは本数が多いのでなんとか大丈夫だった。

 

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 どこを撮っても様になる。確かに、話に聞いていた通りとってもかわいらしい街並みだ。どの建物も真っ白で、すべての通り道が小さな迷路みたいになってるし、絵本の中の世界のような雰囲気で満ちている。

 

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 猫だっていた。


 が、とにかく人が多い!多いよ〜!

 しょうがないことだけど、寝不足の時にこれはちょっとしんどいかも。みんないい写真を撮りたいからどうしても人の流れが滞留しがちだし……と内心思っていたら、夫がスマホのカメラを向けながら「俺はさかなちゃんの遺影にできるぐらい良い写真が撮りたいんだよ!」と言ってきた。最初は物騒なことを言うな〜と笑って流していたのだが、どうも本気らしい。しっかり話を聞いてみると、「せっかくハネムーンらしい場所に来たのだから、美しい景色を前にした妻の姿をしっかり残しておきたい」とのこと。


 熱心に行きたがってたのはそういう理由だったんだ……!?とそこではじめて知って思わず泣きそうになった。シンプルに嬉しい。ハードなことも多くて忘れかけていたけど、確かにこれって新婚旅行なんだよね。こんなザ・恋人達の聖地みたいな島までわざわざ来たんだもの、はしゃいで写真撮りまくるぐらいが自然じゃないの〜。


 夫がそういう気持ちでいてくれるのなら私ももっと楽しもう!と思い直し、それ以降は張り切ってたくさん写真を撮ってもらった。もちろん夫のこともばっちりきれいに写してある。

 

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 目当ての夕陽も見ることができた。ピンク色に染まっていく街がきれい。

 一時はどうなることかと思ったけど、来てよかったサントリーニ!