恋がしたい

もうずいぶん長いこと

髪を切っていないのでした

だからなのか 去年の夏ほど

わたしは乙女の顔をしていない

目つきがちょっぴり鋭くなって

全身から 骨という骨が

消えてしまったみたい

窓の外ではいろんな種類のむらさきが

すみれが あやめが 藤の花が

いまにも爛漫に咲き誇り

雨粒をうけて輝いている

だけどそんなこと

わたしには一向に関係がない

仲睦まじい恋人たちの足元で

てんとう虫みたいに ひっくり返って

わたしも恋がしたいと

泣いてみたらどうかしらん

それで世界が

ぜんぜん変わらないといいのにな