オフリド 湖、赤い花、オレンジの家

八月二十三日(火)

 午後から天気が悪くなるらしいので、まだ晴れている午前中のうちに旧市街の方を観光しておくことになった。昨日は雨が降っていてかなり肌寒かったが、今日は打って変わって日差しが暖かい。ここからのスタートで本当に雨が降るのか疑問なぐらいだ。

 

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 パン屋さんで朝食。親切な店員さんが置いてあるすべてのパンについて一個一個説明してくれた。結果、だいたいのパンにチーズが入っていることがわかった。北マケの人はチーズが好きなのかもしれない。

 

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オフリド湖


 宿から十五分ほど歩いて湖に辿り着いた。いい風が吹いている。さすがに泳げるほどの暑さではないなあと思ったが、水辺に近づいてみるとけっこう地元のおじいちゃんとかが半裸になって遊んでいた。昔から入っている人はガッツが違うな。

 

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 水の色がきれい。

 

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 謎の銅像。北マケはよくわからないオブジェがいたるところにあることでも有名だ。

 

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 円形劇場って実はけっこうどこにでもあるのかな?と話しつつ、坂道を登って上の方まで歩いた。民家の軒先に咲く花々が美しい。かなり好きな街並みだと思った。

 

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△サミュエルの要塞/入り口


 かっこいい城壁があったのでチケットを買って中に入ってみた。十世紀末〜十一世紀の初め頃に建てられたものらしい。かなり保存状態がいいのを夫が疑って、「全部復元なんじゃ……?」と言っていて笑った。ロードス島の騎士団長の館以来、なんでもそっくりそのままは信じないようにしようと思ったとか。

 実際、後で調べたら二〇〇三年に大幅な修復を行なっているとのことだった。

 

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 上に登れた。北マケの国旗がはためいている。歴史的価値がどうとかは抜きに、確実にオフリドでいちばん見晴らしが良い場所だと思った。

 

 ひとしきり眺望を堪能した後は再び坂を降りて街の方へ。

 

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△プラオシュニク


 オレンジの屋根が印象的な教会。入場料がかかるわりにそこまで見どころがあるわけではなく、残っているモザイク画や円柱にも特に説明がなかったが、その完全には観光地化されていないところがかえって好ましかった。

 

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 猫。

 この猫とは全然関係ないのだが、昨日寝る前に「オフリド 猫」でTwitter内を検索したら、複数のアカウント群が同一猫(もしくはその家族)の写真を載せていておもしろかった。生きてるんだなあ。

 

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 北マケに来てから肉料理ばっかり食べている気がしたので、たまにはサラダとスープで胃腸を労わることにした。お腹がいっぱいになった後はいったん宿に戻ってお昼寝。

 

 

 夜、今後のプランについて二人で話した。いろんな人に周辺国のおすすめを教えてもらった結果、行きたいところが増えすぎた感がある。夫が「このままだと時間が足りないかもしれない」と言うので、私は「だったらいっそオーストリアチェコは後回しにして、このあたりの滞在期間を延ばすのはどうだろう」と言った。元は九月末までにヨーロッパ全体を巡るつもりだったけど、無理そうならひとまずいくつかスキップしてもいいんじゃないなあと思ったのだ。だいたい半年を目処に帰国する予定ではあったけど、それ自体伸びても構わないわけだし。今後の人生でこんなに長期期間旅行する機会なんてそうそうないんだし、やりたいことは全部やっておいたほうが絶対にいい。

 

 それに私はこのあたりの国(バルカン半島というらしい)の穏やかな雰囲気がかなり好きだ。確かに最初「ブルガリアの次は北マケドニアに行く」と聞いたときは「どこ?」という感じでしかなかったが、知らないからといって楽しめないということはまったくないし、実際行ってみると見どころもたくさんあった。ご飯だっておいしい。

 夫的には「この辺の国に関しては完全に自分の趣味だし、付き合わせてしまって申し訳ない」「この後オーストリアチェコも控えてるから許して……!」という気持ちがあったみたいだけど、ぜんぜんそんな風に思う必要はないのだ。私だってちゃんと楽しい。旅にもいろいろ種類があって、私の場合は(夫もだと思うけど)「観光」より「放浪」とか「慰安」が好きなんだと思った。ウィーンやプラハ、パリといった華やかな都市に憧れがあるのは事実だけど、たぶん実際にはこういうあまり観光地化されていない土地でただ美しいだけの景色を見ながらのんびり過ごす方が性に合っている。

 

 良い機会だったので正直にそう伝えると、夫は驚きつつも喜んでくれた。明後日は私の趣味でストルガの詩の夕べに行く。私も夫がやりたいことにはなるべく付き合いたいし、その中で楽しみを見つけていくのが好きだ。