カミーノ 深まっていくスペインの秋

十月九日(日)

 カミーノ巡礼十一日目。今日はちゃんといつも通りの時間に起きた。

 

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 キッチンが大混雑していてまともに座ることすらできなさそうだったので、荷物をまとめるとすぐに出発した。時刻はまだ七時前。空には満月が浮かんでいる。外はいつもより肌寒く、スペインでも秋が深まりつつあるのを感じた。

 お腹が空いていたのでスニッカーズみたいなチョコレートバーを齧りながら歩く。今日は二十四キロ。

 

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 八時。だんだん空が明るくなってきた。しかしものすごい霧。

 

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 サンティアゴ・デ・コンポステーラまであと五百五十キロ。こうして見るともうけっこう進んだんだなと感じる。

 

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 七キロ進んだあたりで一旦休憩。朝ほとんど食べなかったせいでお腹がペコペコだった。

 

 たまたま居合わせた知り合いに「今日行く町はいちばん大きなアルベルゲでも六十台しかベッドがないらしいよ。ちゃんと泊まれるかな?」と話すと、「今、ヨーロッパ中の学生が歩きに来てるんだけど、大抵は昨日のベロラドまでで帰っちゃうみたいだからたぶん大丈夫だよ」と教えてもらった。夫婦共にニュアンスでしか聞き取れなかったため、本当かどうかはわからないけど、そう言われると多少は安心だ。

 

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 太陽が出てきたわりにはまだ寒い。これじゃカミーノじゃなくてサミーノだね、わはは。みたいなくだらないギャグで二人して笑った。

 

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 十時半。また別の町に来た。今日は後半の十二キロがずっと山道で何もないそうなので、その前に商店でお菓子を買ってもう一度一休み。昨日から猫運がいい。

 

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 ひさびさに森の中を通って行く。少々きつい坂が続くけど、最近ずっと平坦な道ばかり歩いていたのでこれはこれで楽しかった。

 

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 日陰に入ると涼しい。どんなに気温が高くても、樹々の色や光のかんじは十月って感じだなあと改めて思った。

 

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 十一時半。けっこう良いペースで歩いている。今日はすぐに終わっちゃいそうだ。

 

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 誰かの遊び心を発見。

 

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 風で木の影が揺れるのが美しいね、と夫。

 

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 十二時半。ファンキーな休憩スペースを見つけたのでしばらくここで休んで行くことに。林檎を齧ったり、さっき買ったお菓子をつまんだりしてお腹を満たした。残り六キロ〜。

 

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 十四時頃になってようやく森を抜けた。雲が綺麗。

 そろそろどこかの町で二泊するか、十キロぐらいしか歩かない日をどこかで作ろるかしようか、という話をちょっとした。

 

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 それから程なくしてサン・ファン・デ・オルテガに着いた。

 昨日の一件があったばかりなので、「また満員なんじゃないか……」と少し不安だったが、いざアルベルゲに行ってみると全然そんなことはなく、まだ十人前後しか到着していないみたいだった。オスピタレロが「ベッドは好きなところを使っていいよ」と言ってくれたのもあり、今日は夫婦揃って二段ベッドの下段を確保することに成功。二人組だとだいたい上下段セットで決まったところを割り振られることが多いので、こういうことは稀だった。ちなみに普段の場合はだいたい夫が下の段を譲ってくれる。

 

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 十八時半。今日はアルベルゲが夕食を出してくれた(別料金)。他にめぼしいレストランや大きなスーパーもない小さな町なのでありがたい。給食形式で列に並んでオスピタレロに配膳してもらうのが楽しかった。

 

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 夕暮れの中の教会。ご飯を食べ終わった後みんな自然と外に出て涼んでいるのがなんか面白かった。