20171121

 短歌というものは簡潔に研ぎ澄まされているからこそ光る表現なのであって、こういうことをするのは野暮かな、とも思うのですが、日々の記録を兼ねて。

今日の店予約しといてくれたんだ 次はいっしょに遭難しようね

 とてもすてきな友だちがいます。立ち振る舞いがスマートで、ひとの気持ちに敏感で、結構社交的なんだけれど、その裏でいろいろ傷ついていたりもする、やさしいひと。当然彼女は私なんかよりもずっと人気者で、いろんな楽しい遊びを知っているし、おいしいお店にも詳しい。途中までの道案内だって完璧です。ありがたいことだと思います。○○ちゃんについていけば安泰だね、って私はいつも言います。

 でも、そのことがたまにちょっとさみしく感じるのは、なぜでしょう。

 時々でいいから、はじめての感動をいっしょに味わったりしてみたい。なんでもやってもらっておきながら、そんなふうに思ってしまうのは贅沢でしょうか。でも、いつも私だけが「わあ、こんなお洒落なところに来たのはじめて」って言ってるんじゃ、なんだか物足りないよ。

 ふたりで道に迷って険悪な雰囲気になったり、たまたま見かけたよくわからないお店に入って微妙な味のパスタを食べたり、そういうこともできたらいいのになと思います。完璧とは言えないような思い出を積み重ねて、その上で大好きだなってお互いに思いあえたら嬉しいです。でもいまのあなたのことも大好きです。

ひしゃげてる自転車みたいな図になってはやくあなたとうたた寝したい

 なにか巨大な力に押し潰されてぐちゃぐちゃになってしまった自転車みたいなかたちになれたらいいのに、あなたとふたりで、と思います。複雑さを保ったままなるべくちいさくちいさくくっ付きあいましょう。そうしてそのままうたた寝でもして一生目覚めなければいいのです。

わたしにはつつめないかもこの愛は足だけちょっとはみ出すのかも

 突き放されたときが怖いので、基本、好意はひた隠しにします。相手の様子を伺いながら、自分が傷つかないよう細心の注意を払って、危険がないとわかった場合にのみ、ちょっとずつ愛を小出しにしていく。それが私のやり口なのです、そうだったはずなのです。

 ところが今回の愛はあまりにも大きすぎるせいで、最初からちょっとおみ足がはみ出してしまっています。困りました。言うほど困ったと思えないでいるところが、なお困りました。

うさぎにはうさぎの倫理があるんだよ見たものすべてに齧りつくきみ

 私なりにいろいろ考えてやったことです。過去をあまり責めないでください。

つめたくてあまいなにかがすみずみに冷蔵されているといいな、ママ

 夏はアイスがおいしい季節です。この歳になってもいまだにお母さんに「アイス買ってきて」ってLINEしてること、友だちには恥ずかしくて言えません。