romantic

 理科の授業で使う実験道具を指さして、「ロマンを感じるね」と言ってみたのだけれど、うまいこと共感してもらえませんでした。夜空や深海のうつくしさと、退屈な形状のガラス管を同列に並べたてようとするのは、あまり一般的な価値観ではないとのことです。私は心にひっかかりを感じましたが、その時は適切な言葉が思い浮かばず、黙ってしまいました。

 そもそも、ロマンとはなんなのでしょうか。私はそれを、「未知のものを追求したいと思う気持ち」だと解しています。フラスコの底が輝いて見えるのは、あれがわからないことを知るための道具だからです。

「どこかに本当に果てというものがあるなら 一度くらいは行ってみたいと思う」(ジプシー・サンディー/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

 THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの音楽はとてもロマンチックです。ガンガンに鳴り響くロック・ミュージックに、チバユウスケの嗄れ声、そして歌詞に込められた、「果て」への鮮烈な憧れ、情熱のようなもの。このうちのどれかひとつでもかけていたら、きっとここまでハマらなかっただろうと、よく思います。

「世界の終わりが そこで見てるよと 紅茶飲み干して 君は静かに待つ パンを焼きながら 待ち焦がれてる やってくる時を 待ち焦がれてる」(世界の終わり/THEE MICHELLE GUN ELEPHANT

 見たことがないもの、体験したことがないこと、知らない言葉、まだ出会ったばかりのあの娘……、そういったものを積極的に受け入れようとするこころがみてとれるからこそ、私はこのバンドが大好きなのです。

 最近になってまたいろいろと聴き返していたのですが、私は『sweet MONACO』がいちばん好きです。前までは『ベイビー・スターダスト』がダントツだと思っていたので、たぶんまた変わるのでしょうね。それも楽しみです。