きみはかわいくないね

 月曜日ですね。

 

 塩分の摂り過ぎで浮腫みが酷く、鏡に映った自分の顔があまりにもかわいくなかったので発狂した。いくらなんでもこれはない。

 十代の頃は散々悩んだものの、美醜の問題については一応自分の中で決着がついており、近頃はあまり気にならないようになっていたのだが。やはり何事にも限度というのはあり、さすがにこれ以上太ったら自己嫌悪でどうにかなっちゃうなあと洗面所で蹲りながら思った。

 

 思いながらもどうにかこうにか外へ出た。

 そしたらたくさん人がいた。

 老いも若いも男も女もみんないる。

 

 が、こういうとき特に目に付くのは同世代ぐらいの女の子だ。特にかわいい子。

 

 いつも感じることだが、今の世の中本当にかわいい子だらけだなあ。感動しちゃうぐらいに。

 

 当たり前のように二重だったり、当たり前のように色白だったり、当たり前のように手足が長かったり。

 

 私にとっての当たり前じゃなさを当たり前のように持ち合わせている女の子が多すぎて、なんかもう、ここまでくるといちいち劣等感を刺激されている暇もないというか、「かわいい」とか「きれい」ってありふれたこと過ぎて最早どうでもいいな、みたいな感じになってくる。逆に。

 

 単なる醜さとか欠点を「個性」って言いきっちゃうのは欺瞞なんじゃないかな、みたいな気持ちも抱えつつ、でもまあ、こんだけ「かわいい」担当の女の子がいてくれるなら私ひとりぐらいブスでもいいよねーって。開き直りっていうんですか?こういうの。

 

 

 花屋で働いていた時の話のこと。

 店頭に並べきれなかった紫陽花を指しながら、先輩に向かって「こいつ、はみだしもんですね」と言ってみたことがある。そしたら「ま、中にはそういうやつだっているよ」という言葉が返ってきて、私は咄嗟に、「なんかその言い草スキー」と思った。のを、ふと思い出した。

 

 そのぐらいのゆるさで他人や自分自身のことを許容できたらどうんなに楽であろうか。

 

 私はすごく馬鹿だし、世間知らずだし、顔もかわいくないし、太りすぎて足が象みたいになってるけど、ま、中にはそういうやつだっているよ。います。いるということで。それでは。