出国 太陽を追いかけて

七月十四日(木)

 起きてすぐ、昨日洗面所で手洗いした衣類の乾き具合をチェックした。結果は予想以上に湿り気味。今後洗濯機がある宿にばかり泊まれるとは限らないから……、ということで夫指導の下実験的にやってみたのだけど、脱水の仕方(手洗いした服を速乾タオルでぐるぐる巻きにして足で踏む)が甘かったのか、室内干しだからなのかイマイチ上手くいかなかった。唯一、mont-bellで買った速乾Tシャツだけはしっかり乾いてる。流石。UNIQLOUVカットパーカーも裾の方は濡れているが本体部分はまあオッケーなライン。ジーパンは完全にダメだった。最後ドライヤーを発動させても完璧には乾き切らず。仕方がないので履きながら乾かすことになった。さっそく旅人っぽい。

 

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 十一時にホテルをチェックアウト。日本食(?)のシメとして日高屋でバクダン炒め定食を食べた。チーズ巻きと餃子も頼んでお腹が苦しい。ジーパンもいい感じに乾いてきた。


 上野から京成線の鈍行に乗って成田空港へ。またも電車に乗った途端爆睡。


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 着いた!

 なんていうか思いの外田舎で森の中みたいなところにあった……、というか、ぶっちゃけ今日という日が来るまで成田空港が千葉にあることすら知らなかった。羽田空港には何回か行ったことがあったけど、こうして来てみるとだいぶ雰囲気が違う。空港もいろいろだなあと思った。

 

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 十七時発アブダビアラブ首長国連邦)行きに搭乗予定。そこからさらに飛行機を乗り継いで丸一日がかりでギリシャへ行くスケジュールになっている。


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 空港内をぐるっと探検してから搭乗手続きを済ませた。この時点で十五時過ぎぐらい。上野から成田までも一時間半近くかかったし、なんだかんだやることが多くて疲れたから出国前に一息つけそうでよかった。のんびりやの夫が「空港には二時間前に着いてるぐらいがちょうどいい」と言っていたのも納得がいく。

 

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 乗った!

 もうすでに異国感。席に着いているパネルを触ろうにも何が書いてあるか全然わからない。いまさら緊張してきた。ドキドキ。夫の手を握りながら無事を祈る。飛行機が上昇をはじめた途端、後ろの席にいた子供が日本語で「やった〜!」と言っていてよかった。やった〜!

 

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 雲間を抜けて、太陽を追いかけながら西へ。昨日からずっと曇りだったので急に明るくなってなんだか嬉しかった。

 

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 赤ワインとスナック菓子。味は辛めの芋けんぴだった。おやつタイムがあるの嬉しい。

 ここでようやく離陸から一時間経過。あと九時間は座りっぱなしなのやば〜い。

 

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 字幕なしで『キングスマン ファースト・エージェント』を鑑賞。何て言ってるかはわからない。一度観たから筋はわかる。

 

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 時間差で夫も観始める。夫は完全初見。


 後から聞いたら「簡単な英語はわかるけど、だいたいの会話は聞き取れない」と言いつつも持ち前の世界史の知識によってだいたいのあらすじを推察していてすご〜いと思った。私が後からググって知った事実関係全部把握してる!あと、ラスプーチン関係のシーンでウケていて嬉しかった。


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 機内食。数時間前に日高屋で生き別れたはずの白米と再会。よく見るとパンとパスタもついてる。炭水化物三兄弟か。チキンにした。

 

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 スクリーン越しのかっこいい夕陽。二十時半。もう一本映画でも……と思ったが途中で集中力が切れてやめた。残りの時間は音楽を聴きながら過ごす。


七月十五日(金)

 眠れたというよりは何回か意識が落ちた。

 

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 一時半頃、二回目の機内食配布がはじまる。太っ腹。でもこの時間か……。正直いらない、お腹すいてないしさすがに太る、と夫に話したら、「恋しい日本食とお別れしたんだし、どうせこのあとめちゃくちゃ痩せるよ」「とりあえず頼んでおいていらなかったらそのまま返せばいいじゃん」とわるい提案を受けた。結果乗せられるがままに見事完食。でもチキンを選んだら筑前煮みたいなやつが出てきたのは嬉しかった。キットカットもついてるし。

 

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アラブ首長国連邦/アラブ国際空港
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△お菓子の自動販売機/安いのか高いのかよく分からない


 日本時間の午前三時、現地時間の二十二時過ぎようやくアブダビ国際空港に到着。腰が痛い。立ち上がった瞬間、開放感がすごかった。とはいえここで終わりではない。次の乗り継ぎ便が出るのは翌朝八時。それまで適当なところで仮眠して過ごすことに。初っ端からだいぶハード。まあでも飛行機旅にはよくあること(?)らしい。その辺の床にゴロゴロ人が転がっていて面白い。椅子で丸くなってる人もたくさんいる。


 降りた直後は疲労のマックスでだいぶ渋い顔になっていたが、寝袋の中で数時間眠るとけっこうすっきりした。同じタイミングで起き出した夫にWi-Fiの繋ぎ方を教えてもらいつつ、時間を確認してみればまだ午前二時(現地時間)。搭乗開始まであと五時間近くあるけど、段々この状況を面白がる余裕がでてきた。時差計算してみるとちょうど母親が出勤するぐらいの時間だったので、一本LINEを入れておく。さすがに「空港で野宿してる!」とは言わなかった。笑。

 

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 午前四時過ぎ、空港内にアザーンイスラム教徒に礼拝を呼びかける放送。一日五回ある)が流れる。三度寝ぐらいして中途半端に覚醒してしまった夫と遠くの方を見つめつつ、「せっかくだしちょっと探検しようか」という話に。

 

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△Free Internet/誰が使うんだ
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△smoking kills/過激


 金色の駱駝と一緒に写真を撮ったり、ブランド品売り場で「これ菊地成孔が愛用してる香水じゃない?」と話したりした。

 

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 午前六時。空がかなり明るくなってきた。窓の向こうの丸いやつは月なのか太陽なのか。昨日はちょうど満月の日だった。


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 七時二十分搭乗。砂漠の真ん中にある空港なだけあってすごく広々としていた。ここからまた六時間ぐらいかけて今度はギリシャへ。

 

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 窓際の席に座ってたお姉さんが代わりに撮ってくれた写真。地球ってけっこうピンク色?英語わからないけど、「見て〜海が見えるよ!きれいだからあなたのスマホでも撮ってあげる!」みたいなことを言われた気がする。すごく親切な女性で、充電ケーブルが上手く使えないで困ってたら助けてくれたりした。

 

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 機内食。昨日は夫に全部頼んでもらっちゃったけど、今日は頑張って自分でコミュニケーション取ってみた。食べた後は爆睡。

 

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 十四時過ぎ、アテネ到着!!ひたすらに長かった。ここからさらにシャトルバスに乗って都市部へ。

 

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 空港のまわりは基本的に田舎なんだと知った。

 

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 アテネの中心部、シンタグマ。空が死ぬほど青い。現実なのはわかるんだけど現実がでかすぎて上手く受け止めきれていない感じがした。あと、単純に疲れから感情が省エネモードになっていて言葉が出てこない。

 

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 宿〜!!!約三十六時間ぶりのベッド。がんばった……。オーナーさんがいい人で、易しい英語を使いながら設備や周辺施設についてひとつひとつ説明してくれた(たぶん)。近所のスーパーが閉まる時間まで教えてくれて本当にありがたい。

 

 が、安心感も手伝ってかここへ来て急に心細さが湧いてきた。夫が一緒だからなんとかなっているとはいえ、全然言葉が通じない国に来てしまってこれからどうしよう……まじでいまさらな話ではあるけど……。

 

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 とか言いながらシャワー浴びて屋上でビール。遠くににアクロポリスが見える。緯度が高いため十八時でもこの明るさだ。風が気持ちいい。

 

 不安だけど来てよかったと思った。部屋に帰って寝る。