コルチャ 歩いて国境へ

八月二十六日(金)

 今日でマケドニアともお別れ。

 朝起きてスマホを見たら地元の友達からLINEが来ていたので、ブルガリアのカザンラクへ行く道すがらで出会ったモップみたいな犬の写真を送っておいた。

 

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 昨日と同じ喫茶店で朝ご飯を食べた。おしゃれな喫茶店なのに店員さんも客もおじいちゃんでいい感じ。マケドニアは男性同士でつるむ文化があるらしく、街を歩くと昼間からお茶してるおじいちゃんグループをあちこちで見かける。

 

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 バイバイ、ドリン川。ひとまずミニバスに乗って隣町のオフリドまで戻る……予定だったのだが、地元のひとに勧められて乗合タクシーに乗車した。バスに比べてぼったくられる危険性が高いので、なるべくタクシーは使いたくなかったのだけど、観察しているとどうも「バスはいつ来るかわからないから、バス停に居合わせたひと同士でタクシーに乗る」というのがこのあたりではポピュラーなやり方らしい。

 

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 めちゃくちゃ警戒したわりにはストルガからオフリドまで二百デナル(約四百円)、オフリドからアルバニア国境近くの町まで四百デナル(約八百円)とかなり良心的な価格で乗せて行ってもらえた。

 

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 到着。向こう側にもうアルバニアが見える。湖沿いを白くて綺麗な鳩が散歩していた。夫が「本当に鳩かな?」と疑った瞬間に「クルッポー」と鳴いてくれて、ナイスだと思った。

 

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 湖に合流する川。

 

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 聖ナウム修道院。タクシーの運転手に「ここは行っておけ!」と言われたので来てみた。規模は小さいが、中に入ってみるとそう言う理由がよくわかる。剥がれかけ、修復されないままになっている絵画が、決して誰にも触れられない神聖さを示しているようで美しかった(※中は撮影禁止)。

 歴史的経緯はわからないけど、この聖ナウムというのはきっとマケドニアの人たちにとって偉大な人物なんだろうね、と話した。

 

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 これはすごいと思った椅子。

 

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 教会の周辺を孔雀が歩いていた。野良?

 

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 お昼ご飯を食べて一休みしてからアルバニアの国境に向かって進み始めた。今日は徒歩で国境を越えます。

 

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 トカゲがやたらと道を横切る。「トカゲの気分を抱きしめて/呼吸を整えよう」二人でミッシェルガンエレファントの曲を歌いながら歩いた。

 道の脇にベリーが生えているのを見て、「道もミッシェルっぽい感じだね」と言ったら「どちらかというとブランキージェットシティじゃない?」と言われた。

 

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 四キロほどひたすら山道を行く。

 

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 国境、越えました!途中車とすれ違いつつもなんとか自分達のペースで出入国管理局まで行き、無事アルバニアに入国した。

 

 すぐ近くの街でバスを拾って、まずはポグラテツという街まで移動。国境越えたてでユーロとマケドニア通貨しか持っていなかったのだが、たまたま居合わせた優しいおじさん(運転手仲間?)がバスの運転手に掛け合って手持ちでどうにかしてくれた……感謝……。


 しかしポグラテツには何もないらしいのでここからまたさらに別の街へ行く必要がある。休む暇もなく別のバスに乗車。これでようやく今日の安息地・コルチャに辿り着けるはずだ。

 

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 で、着いた。うーん昭和感!

 アルバニアはつい数十年前まで鎖国しており、その影響なのか場所によってはひと時代前の感じがある。道中も、車と並行して荷を乗せた馬が道路脇を歩いているなど、けっこうこれまでにない雰囲気だった。あと、野良犬がすごく多い。バスステーションの周辺だけで七、八匹は見かけた。大丈夫なんだろうか。

 

 と、宿にチェックインするまでは思っていたのだが……。

 

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 夕飯を求めて街の中心に出てみたら、実際はそれなりに栄えていた。このパターン、ブルガリア北マケドニアに入国する時もあった気がする……。私はホッしたけど(バスステーションに着くまで「町に行ったところで宿なんてあるのか」と心配するレベルだったので)、チャレンジングな展開を期待していた夫はちょっとがっかりしたみたいだ。そんなん言ったらもうインドとか行くしかなくない?ちなみに写真のピザはめちゃくちゃ美味しかった。アルバニアはイタリアと関係が深いので、食文化も似ているらしい。通りで。

 

 移動続きで疲れたので今日はもう寝るだけだ。

 

八月二十七日(土)

 起きると体がダルい、重い。一日に何キロも歩くこと自体はそこまで珍しくないのだが、八キロ以上あるバックパックを背負ってという状況がけっこうハードだったみたいだ。九月末からはじめるカミーノの巡礼では同じ条件で一日に二十キロ以上歩くみたいなので、耐えられるかどうか今から不安……と思って他の人の旅ブログを読んだりした。楽しそうだった。やっぱり多少しんどそうでも憧れがある。

 

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 ずっと横になっていても疲れは取れないし、少し動いたほうがかえって血の巡りが良くなっていいのでは?とお昼ご飯だけ食べに外へ出た。VERSACEという店名の、VERSACEとは特に関係がなさそうなお店。サラダは山盛りだしピザも美味しかった。

 

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 あとは部屋に戻って昼寝して、起きて北マケドニアの魅力をノートにまとめたりして過ごした。マケドニア、とにかく良い国だったな。

 

 その後もひたすらダラダラと過ごし(子連れでカミーノの巡礼をした方のブログがおもしろくて夢中で読んでしまった/子連れサンティアゴ巡礼・カミーノKumi3ブログ)、九時には就寝した。明日はバスの関係で四時半起き!ハード!