カミーノ ここも地球の一区画

十月八日(土) カミーノ巡礼十日目。大寝坊した。いつもは他の巡礼者が荷造りする音で自動的に目が覚めるのだが、個室に泊まった今日はそれがなく、パッと起きて時計を見てみると九時過ぎ……。やばい。ふかふかのベッドに油断し過ぎた。 同じタイミングで夫…

カミーノ パスポートの写真みたいな顔しないで

十月九日(金) カミーノ巡礼九日目。今日は二十キロしか歩かないとわかっていたので、いつもよりのんびりした朝を過ごした。周りの巡礼者もお寝坊気味で、六時半ぐらいになってようやく起き出す人が大半のようだ。いつも私たちが目を覚ます頃にはみんなもう…

カミーノ 歩くの大好き

十月六日(木) カミーノ巡礼八日目。朝、キッチンに行くとおじいちゃん巡礼者がテーブル上にタロットカードを広げていて、いいなあと思った。実は私もバックパックの奥底にカードを眠らせているのだが、いまいち活用できていない。それもそのはずで、今は毎…

カミーノ おしゃべりに夢中

十月五日(水) カミーノ巡礼七日目。今日でついに一週間経った。体力もついたし、大体の生活リズムが掴めてきた気がする。 七時過ぎ、まだ暗いうちに出発した。空を見上げると星が輝いている。何も見えないので、ヘッドライトの明かりを頼りに歩いている人…

カミーノ 飛行機雲、しまうま模様の道

十月四日(火) カミーノ巡礼六日目。昨日の反省を活かして六時には起きた。今日はどの地点で休憩を取るかもなんとなく決めてある。 七時過ぎ、パンとココアで軽く朝食を済ませて出発。今日も二十キロぐらいだ。空の色がすごく綺麗。立ち止まり、空に向かっ…

カミーノ オリーブの木がある休憩所

十月三日(月) カミーノ巡礼五日目。目を覚ますと同室のブラジル人男性(大柄で、柔道黒帯で、タトゥーがめちゃくちゃに入ってるけど、笑顔が優しい)が最小限の光の中荷造りをしていて、夫婦共々「ギャップだ……!」と、ときめいた。いい朝だ。 八時。今日…

カミーノ 刈り取りが終わったあとの麦畑

十月二日(日) カミーノ巡礼四日目。昨日買ったケーキがあるとわかっていたので、今日は起きた時からなんとなく気分がよかった。洗濯物もばっちり乾いたし、雨だって降っていない。ハッピー! チーズケーキをはんぶんこして食べて、七時半にはスタート。今…

カミーノ うさぎ巡礼者誕生

十月一日(土) カミーノ巡礼三日目。今日は少し遅めの七時起床。外の物干し竿まで洗濯物を取り込みに行くと、全然乾いていなくてショックだった。しょうがないのでバックパックに吊るして歩きながら乾かす。 八時出発。このぐらいの時間だとさすがに外も明…

左へずれる

バタークリームの塗られていない肌 鏡が消えた国境沿い 運ばれていく身体は ただそこに在る身体だった 揺られているのは猫の天ぷら いつかわたしから逃げたもの 肘から手首 手首から薬指の先 繋がっている不思議について 考え そして眠りに溶けていく 重すぎ…

カミーノ あと七百九十キロ!

九月三十日(金) カミーノ巡礼二日目。周囲がざわざわする気配で目が覚めた。真向かいのベットに寝ていた人たちはもう起きて出発の準備を始めている。時計を見ると六時二十分。最悪日が落ちるまでに次の町へ辿り着ければいいので、そう焦る必要もないのだが…

追いかけたい

あの頃は 病気の一環として人を好きでした 愛ではなかったとおもいます だからチューペットが砕けた瞬間 あ と思って飛び降りました 騒然としてほしい教室 死んだあとの夕焼け 長い長い落下は 気持ちがよかった あんなものを恋だと認識するぐらい わたしの夏…

カミーノ ストレスは林檎を美味しくする

九月二十九日(木) カミーノ巡礼一日目。外から雨の音が聞こえる。六時過ぎに自然と目が覚めた。夫も含め、同じ部屋の人たちはまだ寝ているみたいだ。誰かが起き出す前にこっそりパジャマからジーパンに履き替えて、ぼちぼち荷造りをはじめた。 廊下に出て…

カミーノ 貝殻を手に入れるまで

九月二十七日(火) △サブザックに詰め込まれてまるでおくるみのようなうさたろ クラクフの宿をチェックアウトした。一週間近くいて、さすがに街に愛着が湧いてきていたところだったので少し寂しい。しかも今日に限って気持ちが良いぐらいの秋晴れだった。滞…

クラクフ アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館に行く

九月二十六日(月) 六時には起きた。クラクフの中心地からアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館まではバスで一時間半近くかかる。私たちは九時から始まる英語ガイドツアーを申し込んでいたので、遅くとも七時過ぎには駅に着いていたかった。 ひさびさのバス…

クラクフ ありがたい一日

九月二十四日(土) 寒くてまた半日以上寝て過ごした。お昼頃夫が行き先を告げないままどこかへ遊びに出かけたので、さすがに私も……という気持ちになり、渋々寝床から抜け出す。カップ麺を食べつつ、「今頃夫は二人で行きたいと話していたウクライナ料理のお…

クラクフ 地方都市の暮らし

九月二十二日(木) 昼近くになって目が覚めた。外は大雨、というかもはや嵐。本当はレストランかどこかで食事をする予定だったのだが、宿から出た途端にますます雨脚が強くなったので諦めることにした。 代わりに近くの市でお惣菜をいくつか買って帰った。…

チェスキークルムロフ 熊がいる城

九月二十日(火) 今日は朝から晴れだった。オーストリア以降ずっと天気の悪い日が続いていて、雨が降ったり止んだりの繰り返しだったのでこれだけでもうけっこう嬉しい。 街の中心にあるインフォメーションセンターで荷物を預けてまずはチェスキー・クルム…

プラハ 乙女座の季節にうさぎを拾う

九月十七日(土) 今日は本当に何もしない一日だった。昼近くになって目を覚ますと外は雨、気温も十二度と冬寸前の気候だ。ウィーン観光の疲れで体は重く、ご飯を食べるために近くのケバブ屋さんまで出かけたのがやっとだった。この旅最大……どころかこの人生…

ウィーン 音声ガイドのワルツで踊る

九月十五日(木) 今日は昨日よりも早く起きた。夫婦共にだいぶ疲れており、二度寝したい気持ちは山々だったのだが、まだ行きたくて行けていない場所がいろいろあることを思うといてもたってもいられない。特に今回の目玉のシェーンブルン宮殿は遅くなると混…

ウィーン 美術館バイキング

九月十四日(水) 八時には起きて行動を開始した。ウィーンは見どころが山程あるのであんまりのんびりもしていられない。あれを見逃した、あそこも行けばよかったと後悔しないように、初日からぶっ倒れるほど予定を詰め込んだ。正直、行くところが多すぎて見…

サラエボ 最後の晩餐

九月十二日(月) 今日は二人とも体が重くて十時過ぎまで寝ていた。 朝ご飯は昨日の帰りに買ったロクムの詰め合わせ。砂糖と澱粉、ナッツを混ぜて作られたゼリーみたいな食感のお菓子だ。発祥はトルコ。イスタンブールの土産物屋でもよく見かけたが、結局食…

サラエボ 戦争のはなし

九月十日(土) 十時。宿のすぐ近くで遅めの朝ご飯。ボスニア紛争について調べたり、今後の旅程について二人で話したりして過ごした。最近移動が多くて疲れていたのであとは部屋でのんびり。夫はひとりで散歩に出かけた。 △街中に残る銃撃の痕 夕方過ぎ。Kin…

シュコダル/サラエボ 崖っぷちドライブ

九月八日(木) 今日でテスの村ともお別れ。バナナを食べながら宿の周辺を散歩して、昨日と同じカフェでエスプレッソを飲んだ。 十一時、宿の前までシュコダル行きのバスが迎えにきてくれた。親切にしてくれた宿の人たちと犬(猫は姿が見えなかった)にお礼…

テス ビューティフルイズキャット

九月七日(水) 目覚めると足がものすごい筋肉痛だった。階段を昇り降りするのがつらい。大人になってからあまり運動をしてこなかったので、この感じは久しぶりだった。昨日の登山を振り返って思うのは、確かに頂上からの眺めはきれいだけど、別に麓から見て…

ヴァルボナ/テス サンダル登山

九月五日(月) 五時半起床。明日のトレッキングに向けて今日は出発地点の町・ヴァルボナまで移動する。 △ピンクが今日の移動/青が明日登る山 ざっくり図にするとこんな感じ。 泊まった宿が移動に必要なバスの予約をしてくれた。聞いたら大きい荷物も宿に置…

シュコダル 文明っていいな

九月三日(土) 朝七時起床。夫はまだ寝ているみたいだったので、そっとテントを抜け出してしばらく海を眺めていた。今日でこの崖っぷちともお別れだ。もう一度嵐が来たら面白いのにと思ったけど、結局昨夜は平和なままだった。 しばらくすると夫も起きてき…

ヒマラ 嵐のあと

九月一日(木) 今日もケーキ屋さんで朝ご飯。夫はチョコクロワッサンを、私はトレスレチェという名前のケーキを試しに頼んでみた。ミルクに浸したスポンジの上にカラメルがかかっていて、さっぱりとした甘さが美味しい。調べたところ、特にアルバニア伝統の…

ヒマラ パラソルを差したところが海辺の住所

八月三十日(火) 九時半、宿をチェックアウト。この子ともお別れだ。どうも夫のことを特別気に入ってくれたらしく、かまってかまってと足に飛び付いては舐め回して涎まみれにしていた。朝食を食べ終わって一旦部屋に戻る時も、リュックに食いついてなかなか…

ジロカストラ 夏っ!

八月二十八日(日) 次の街・ジロカストラ行きのバスに乗るため、四時半に起床。三十分で支度をして外に出た。バス停に着くのがたぶん五時半頃、バスの出発が六時と考えるとなかなか良い感じだ。 まだ真っ暗。野良犬がその辺で寝てるからうっかり踏まないよ…

コルチャ 歩いて国境へ

八月二十六日(金) 今日でマケドニアともお別れ。 朝起きてスマホを見たら地元の友達からLINEが来ていたので、ブルガリアのカザンラクへ行く道すがらで出会ったモップみたいな犬の写真を送っておいた。 昨日と同じ喫茶店で朝ご飯を食べた。おしゃれな喫茶店…